ささきの木

これは誠心住工房フォレストが発信するYouTubeのタイトル名です。動画の内容は主に
「雪国に適した家づくり」となっていますが、部分的には雪の降らない地域でも役に立
つ内容も含まれているので是非多くの人に見て戴きたいと思います。

申し遅れました。私は誠心住工房フォレスト代表の佐々木利幸と申します。初めに簡単
では有りますが、私の経歴を紹介させて戴きます。

昭和59年秋田県立横手工業高校建築科を卒業後、同年渋谷に本社が有るT急ホームへ
入社。平成元年にM菱地所ホームへ移籍。平成2年にN村不動産に移籍し、約8年半東
京の大手ハウスメーカーで現場監督を経験してきました。平成4年9月に帰郷し、秋田
市のMワールドへ入社、平成19年にMの家に移籍し、この間設計業務、パネル工場の
工場長や商品企画開発業務などを経験してきました。サラリーマン人生最期の会社とし
てS友不動産の新築●っくりさんに入社し、約3年半住宅リフォーム業の営業、設計、
工事管理を経験して参りました。

平成27年4月に株式会社フォレストを設立し、木造住宅の新築とリフォームの設計・
工事請負を主たる業務として現在に至っております。住宅業界に入って丸40年になり
ますが、これまで培ってきた知識や経験を元に、これから住宅を建てられるお客様へ有
意義な情報提供をして参りたいと思っております。

さて建築業界はここ数年激動な時期を迎えています。きっかけはウッドショックですが、
コロナウイルスの世界的感染とロシアのウクライナ侵攻が拍車を掛けました。ようやく
コロナが収まりつつ有りますが、いま日本では数十年ぶりのインフレと記録的な円安で
全ての商品が高騰しています。もちろん住宅価格も例外では有りません。ウッドショッ
ク発生後から毎月のように値上がりして昨年で一旦落ち着いた感がありましたが、止ま
ぬインフレと円安が歯止めの効かない状況を引き起こしています。正直言ってウッドシ
ョックが始まった頃に住宅価格がここまで上がるとは誰も想像していなかったと思いま
す。ザックリですが、約3割は上がったのではないでしょうか?仮にウッドショック以
前に2,000万円で買えた住宅がいま買うと2,600万円もする訳ですから、これ
は尋常では有りません。私たちが手にする給料の伸び率も一律3割上がれば問題にはな
りませんが、世の中そんなに甘くは有りません。大手企業がこの春に大幅なベースアッ
プを行いましたが、国民の多くは中小企業の働き手です。日本国民が今の物価を普通と
感じるまでに、あとどのくらい時間が必要なのでしょうか?

さて話をウッドショック発生時に戻しますが、あの時にロシアからの木材輸入がストッ
プし、北米からの輸入も大幅に減り、丸太の価格は確かに上がりました。しかし、我々
に提示された木材価格の上昇率と丸太価格の上昇率には大きな乖離が有りました。
実は丸太価格の上昇率はそんなに大きくはなかったのです。まぁ言ってみれば他国の木
材事情を逆手に取って「いま上げないで、いつ上げるんだ!」という木材業界の仕掛け
た罠にはめられた訳です。その証拠にこの期の木材会社の決算は軒並み売上高大幅アッ
プで過去最高です。高値で今まで通りの数が売れれば当然ですが、問題は利益です。
何とこれも過去最高の利益を上げているのです。ウッドショックで原価が上がっている
のであれば、利益は例年と変わらないはずなのに過去最高で前年比大幅アップ!って
おかしくないですか?正にボロ儲けとはこの事です。

先述した通り、ウッドショックにコロナウイルスの世界的流行が拍車を掛け、木材のみ
ならず有りとあらゆる資材が一斉に値上がりしました。そしてその結果が現在の住宅価
格に反映されている訳です。が、それにしても高すぎると思いませんか?ほとんどの住
宅会社が坪単価80万円以上、高い処だと100万円の価格で売っています。弊社の計
算ではウッドショック前と後で約3割アップしたと考えております。仮に以前60万円
/坪で販売されていたとすれば現在の価格は78万円/坪です。ウッドショック以前の坪
単価60万円であればそれなりに品質の高い住宅が建てられました。弊社では何とか坪
単価80万円未満で良質な住宅をご提供できるよう企業努力しております。

YouTube「ささきの木」ではこれから家を建てようとする方にとって有意義な情報提供
して参ります。特に雪国にお住まいの方にとってはとても参考になる動画となるでしょ
う。また政府が提唱している「100年住宅」を建てたいと思われている方にも同様で
す。発信するまであともう少しです。是非ご期待ください。

ハウスラップは製造元が重要です!

「ハウスラップ」と言う言葉をご存知でしょうか?
これは建物が上棟し、外壁の耐力壁が完了した後、外壁下地に張られる防水シート
(一般的にホワイト色)を指します。外壁材が張られると見えなくなるため、施工の早
い現場だとハウスラップは10日ほどで見えなくなります。
このハウスラップは外からの雨の侵入を防ぎ、内部から出た湿気を外に排出する特殊な
機能を持っていて、別名「防水透湿シート」とも呼ばれます。このシートの元祖と言わ
れているのが米国のデュポン社が作った「タイベック」です。タイベックが日本中の現
場で使われ始めると日本の建材メーカーも追随し、同様の機能を持った商品を発売しま
した。価格がタイベックよりも安く、同じ機能を持つと言うと振れ込みで多くの住宅会
社が採用していきました。

ところがです。新築して15年後に外壁の張替え工事で既存の外壁材を剥がして見たと
ころ、とんでもない状況が発覚したのです。日本製の防水透湿シートは全体的に虫が食
べたような穴が点在し、表面はブサブサで劣化が著しかったのです。劣化状況から推察
するとおそらくこのシートは10年も経たないうちに防水性能を失ったと思われます。
もちろん透湿性能も同様に機能を果たしていなかったと思います。

リフォーム工事を数多く手がけるようになって分かってきたのが、「タイベック」と
「日本製防水透湿シート」の違い
です。タイベックは『20年保証』と謳っているよう
に、15年経過した家の外壁材を剥がしても劣化が見当たらないのです。新品の時は触
っても違いがよくわからない商品ですが、製造技術や素材の違いでこれほど耐久性に違
いが出るとは当時は分かりませんでした。

それ以降、FORESTでは「タイベック」を防水透湿シートの標準品としてきましたが、
2023年からは「白いタイベック」の販売が終了し、「タイベックシルバー」と言う
遮熱型防水透湿シートしか選べなくなってしまいました。価格も約2倍に跳ね上がりま
したが、遮熱性能が付加されたことで住宅の性能も上がると思い込んでおりました。

しかし残念なことが判明しました。シート表面に塗膜したシルバーの素材が遮熱効果
を発揮してくれると期待していましたが、それほどの効果は有りませんでした。遮熱シ
ートを耐力壁に直接張れば紫外線などは反射してくれていると思いますが、太陽の熱は
伝導で本体に伝わるのです。断熱材の種類によっては蓄熱するので夏になると夜に蓄熱
された熱が放射され、暑くて快適に眠れないのです。

そこでFORESTでは2024年より防水透湿シートを「タイベックシルバー」から「ウ
ェザーメイトプラス」と言う商品に切り替えました。「ウェザーメイトプラス」も「タ
イベック」と同じデュポン社製の商品で信頼性は抜群です。この「ウェザーメイトプラ
ス」は「タイベック」とは素材そのものが大きく異なりますが、防水透湿シートとして
の機能は「タイベック」以上に優れた商品です。

FORESTではハウスラップに遮熱機能は求めず、あくまで「防水透湿シート」の機能性
と耐久性を求める事としました。かと言って遮熱性を捨てた訳では有りません。遮熱
についてはまた改めて触れたいと思いますが、最後に一言だけ申し上げたいことが有り
ます。それはハウスラップにデュポン社製以外の商品を使ってはいけないと言うことで
す(デュポン社製のハウスラップと同等以上の性能を有する商品が有れば別ですが)。
ハウスラップの商品名までお客様に開示している住宅会社がどれだけ有るのか分か
りませんが、一般的にお客様はあまり関心を持たない部分です。ゆえに安価な商品を使
う会社も少なくないのです。お客様はついつい外壁材にだけ目が行ってしまいがちです
が、その下にある防水層が"安かろう悪かろう"商品ではいざ漏水が起こった際に大問
題へ発展し兼ねません。そうならない為にも「防水透湿シート」には信頼性の高いメー
カーのモノを使うようにしましょう!

家の土台にはシロアリの被害に遭わないものを!

「家づくり」において構造部分はとても重要です。でも一般的に住宅会社が示す耐震等
級や簡易的な説明だけで殆どのお客様はスルーされていきます。「住宅会社の営業マン
が大丈夫です!安心です!と言っているのだから大丈夫だろう。」とお思いかも知れま
せん。また、「構造って難しいし、基準さえクリアしていればOK!」みたいに安易な考
えでおられるお客様も少なくないと思います。

そういうお客様に対して、ここで真剣に言っておきたいことがあります。家づくりにお
いて「完成してからでは見えなくなる部分の造りこそ本当に重要なポイント」なのです。
構造材はもちろん、断熱材や防水材の施工状況などが、その最たるものです。

前回は構造材の中でも柱材についてお話をさせて戴きましたが、今回は土台に絞ってお
話をさせて戴きます。なぜ弊社がここにこだわるのか?それは真面目に『100年住宅』
を目指している
からです。まず日本の家の耐久年数は先進国の中でも最低の32年です。
イギリスで75年、アメリカでも44年くらいの耐久年数があるのです。35年の住宅
ローンが終わらないうちに「建て替え時期です」ってガッカリじゃないですか?

政府は随分前から「100年住宅構想」を発表しておりますが、100年持たせるには
どこに何を使えば良いかまでは示しておりません。つまり、どこに何を使うかは住宅会
社が各々で考え、最終的に100年持つ住宅を作りなさいという曖昧な指針な訳です。
では全ての住宅会社が本当に100年住宅を目指した家づくりを行っているかというと
案外そうではない会社の方が多いと感じます。「100年住宅」を看板にしたある大手
ハウスメーカーの会長さんが「100年も持ったら我々の商売が成り立たない。」と本
音発言をして世間から反発された事もあったように表と裏の考えを持つ会社も多いと思
います。

そこで手っ取り早く「100年住宅」を目指している会社かどうかを見分ける方法とし
てお勧めしているのが、構造材に何の木を使っているのかを調べることです。結論から
言うと「集成材」を構造材に使っている住宅会社は本気で「100年持つ住宅を造ろう」
とは考えていない会社
だと思います。なぜならば、集成材には絶対に欠かせない接着剤
の耐久年数が100年持つとは考えられない
からです。集成材が世の中に出たのは70
年くらい前のようですが、現在のように構造の主要部分全体に使われるようになったの
は25年くらい前からだと思います。と言うことは、まだ100年持ったという実績が
無いのです。この実績と言うのは非常に重要なのです。弊社が推奨する無垢の木は古く
は奈良の法隆寺など1300年も前に建てられ、現存し続けています。法隆寺は家では
ありませんが、日本最古の木造建築物です。これだけの年数を持ち続けられているのは、
本物の木を使っているからであり、建設地とほぼ同じ気候の場所で育った木を使ってい
たことが挙げられると思います。この条件を現代の家づくりに当てはめると「無垢の乾
燥材」を使用し、その木は秋田であれば秋田県あるいは隣県で採れた木であれば、同じ
ように長期に渡り住み続けられると考えられます。

では何の木を使ったら良いのか?ということですが、弊社では土台には「青森ヒバ」、
柱には「秋田スギ」
を採用しております。柱については前回お話しましたので割愛しま
す。土台は木部で最も地面に近い部位ですので、もしシロアリが基礎を登って来たら一
番初めに食べられます。ところがその土台がシロアリにとって害が有って食べられない
樹種だったらどうでしょう。当然シロアリは食べずに引き返す訳です。そうなんです、
正にその樹種こそが「青森ヒバ」なのです。防虫・抗菌・消臭・防腐効果を併せ持つこ
の木は土台に打って付け
なのです。逆に言えばこの「青森ヒバ」より土台に適した樹種
は無い
と考えます。桧も素晴らしいですが、シロアリが嫌う「ヒノキチオール」の含有
量が桧よりも多いのです。

仕事柄リフォームで腐った土台を見ることがよく有りますが、ここに集成材を使ってい
たらもっとひどい状態になったであろうと思います。強度が低く、耐蟻性ゼロの集成材
ならば尚のことです。土台は建物に掛かる荷重や自重を基礎に伝えるとても重要な構造
体です。そこがシロアリの食害や雨水による腐食で本来の機能を果たさなくなれば、家
は崩壊します。ゆえに土台に使われる樹種が何なのかと言う事は重大事項なのです。

秋田県民はなぜ秋田杉を使わないの

日本にはたくさんの種類の木がありますが、中でも『日本三大美林』と呼ばれる木が有るこ
とをご存知でしょうか?
①青森ヒバ
②秋田スギ
③木曽ヒノキ
これが『日本三大美林』と呼ばれる木の名前です。お気づきですか?三大美林の内二つも北
東北にある木が選ばれているのです。秋田スギは学名で「日本の隠れた財産」とも呼ばれて
いるのですが、秋田県民でもこの事を知っている人は殆どいないと思います。正確に言うと
これは「天然秋田杉」を指しているのですが、現在は天然秋田杉の伐採は制限されていて住
宅の構造材に使う事は難しい状況にあります。しかし、植樹された秋田杉にもそのDNAは
引き継がれている訳で、そういう木が身近に有りながら外国産の木を使って家を建てると
いうのは凄くもったいないと思うのは私だけでしょうか?

集成材全盛の昨今ですが、FORESTでは無垢の乾燥材に拘った家づくりをしております。
土台には『青森ヒバ』を、柱には『秋田スギ』を使い、地産地消にも貢献しております。が、
もっとお客様に知って戴きたい事があります。それは大手ハウスメーカーや有名工務店が構
造材として使っている集成材の多くは日本の気候に適さない木である
ことです。

代表的な木はホワイトウッドやスプルス、オウシュウアカマツなどですが、これらの木は北
海道よりも緯度が高く、寒い北欧や北米で育った木です。問題はこれらの木の強度と耐蟻性
です。
JAS規格で日本のヒバやスギ、ヒノキは「D1」という強度の高い木に分類されていますが、ホワイトウッドやスプルス、オウシュウアカマツは「D2」という強度の低い木に分類されています。この強度の低い木を接着剤で塗り固め、集成材として強度を高めているのでしょうが、接着剤の強度は年を追う毎に低下の一途を辿ります。

そして極めつけは「耐蟻性ゼロ」という点です。つまりシロアリに対して全く抵抗する成分を持っていない木ばかりなのです。なぜならば、これらの木が育った地域にはシロアリは生息していないからです。一方、北海道を除く日本の木はシロアリが生息する地で育ちます。ヒバやスギ、ヒノキにはシロアリが嫌う「ヒノキチオール」と言う成分が含まれているので、土台や柱など地面から近い部分に使用する構造材には打って付けの樹種なのです。

いかがでしょう。日本で木造住宅を建てるのであれば、日本で育った木を使うが一番なので
す。
そして秋田で家を建てる人はぜひ地元産の『秋田スギ』に着目して戴きたいと思います。
弊社では本気で「100年以上住み続けられる家づくり」を目指しています。それを実現す
るには構造材以外の点も考えなくてはなりませんが、今回は構造材に特化してお話をさせて
戴きます。

ぜひ、ハウスメーカーのホームページをよく見てください。そして構造材に何の樹種を使っ
ているかを確認してください。先程挙げた樹種の集成材を構造材に使用している住宅会社は
ホームページにそれを載せていないのがほとんどです。『強度が低い「D2」で、耐蟻性の
無い木を使っています!』なんて、お客様が知ったらドン引きですよね。だから敢えて触れ
ていません。触れて欲しくないからお客様の目線を他の部分に向けたいのです。

そして最後にお客様!
構造躯体とは住宅の骨格です。その部分に集成材を使って本当に良いかを真剣に考えてみて
ください。くどいようですが、接着剤の耐久年数が100年も持つと本当に思いますか?
奈良の法隆寺や薬師寺など1300年以上も前に建てられた社寺仏閣がいまだに現存する
のは良質な無垢の木を使っているからです。住宅に限らず「本物に勝る人工物など無い」と
私は考えます。

令和6年5月17日の強風

5/17は秋田県のみならず日本海側の県では強風による被害が多く出ました。横手市では
屋根が飛ばされる被害が1件出ましたが、その被害に遭ったのが弊社事務所の近隣のお
宅でした。築50年を超える住宅で2階の屋根材が全部吹き飛ばされました。幸い屋根
材は近くの電柱の根本部分に引っ掛かり、二次的被害は免れました。
翌日は晴天で私は吹き飛ばされた屋根部分を見て驚きました。なんと野地板がほとんど
無いのです。残された野地板の残骸を見ましたが、それはベニヤ板がペラペラに剥がれ
たモノでした。築50年以上前ですから構造用合板ではなく普通のラワン合板を張って、
屋根を葺いたものと思われます。

大地震が日本各地で頻発する昨今、建物の軽量化を図るために雪の降らない地域でも金
属製の屋根材が使われるようになりましたが、ひと昔前では金属製の屋根と言えば雪国
でしか使わない商品でした。瓦屋根と違い、軽くて値段も安い金属製屋根はどうしても
高級感が出にくく、関西地方では小屋に使う屋根材と揶揄されていました。昔は、「ト
タン屋根」と呼ばれていましたが、現在は「ガルバウム銅板製屋根」に変わり、耐久
性も高くなり、多少はデザイン性も良くなりましたが、金属製の屋根には変わりません。

話が少し脱線しました。さて今回の災害ですが、50年前に棟梁さんが選択ミスをして
いなければ、屋根は吹き飛ばされずに済んだかも知れません。どんな選択ミスをしたか
と言うと、それは野地板にベニヤ板を使用した事です。金属製の屋根の特徴として一番
に考慮すべきは屋根材が直接野地板に触れること
なのです。実際は屋根材と野地板の間
にはアスファルトフェルトが敷いてあるので、直接と言う言い方は違うかも知れません
が、屋根材の熱が野地板に伝わる点においてはアスファルトフェルトの有無は関係なく、
ほぼダイレクトに熱は野地板に伝わります。横手盆地の夏は東京並みに暑く、気温が3
5℃にもなります。この時の屋根材の温度は計った事はありませんが、素手では触れな
いくらいの熱さになります。この熱さは当然野地板にも伝わります。そして冬は氷点下
5℃くらいまで下がります。ひどい時は-15℃まで下がる日もあります。つまり野地
板は住宅部材の中で最も過酷な状況下に晒されているのです。ここにベニヤ板を使った
らどうなるかを考えてみてください。

ベニヤ板は薄い板を何層かで貼り合わせた人工物です。貼り合わせる為に接着剤を使用
していますが、これが先程言った過酷な状況下でどれだけの耐久年数を持つかを考えな
ければなりません。
私の経験値ですが、おそらく20年は持たないと思います。では、
なぜ屋根材は50年も飛ばされずに持ったのか?それは屋根材を留める吊り子に打った
釘がタルキにある程度深く刺さっていたからだと思います。しかし、野地板のベニヤ板
が腐食し、屋根材との間に空間が出来てしまい、そこに風が入り込む事で今回の災害が
起きたと私は推察します。

では野地板には何を選べば良かったのでしょう?
答えはズバリ「無垢の杉バラ板」です。無垢材はベニヤ板と違い、剥離することはあり
ません。リフォーム工事で多くの屋根を葺き直してきましたが、合板を使った野地板は
ほとんど剥離しています。つまり、金属製の屋根材を葺く場合、野地板には無垢材を使
うか、合板を使用した場合には熱が直接伝わらないようシージングボードなどを上に重
ね張りするようにしなければならないのです。

エコキュートをお勧めしない理由③

これまでエコキュートをお勧めしない理由を二つ挙げさせて戴きましたが、今回が最後に
なります。3つ目の理由も寒冷地特有の事情ですが、「真冬に停電が起こると使用出来な
い!」という点です。私たちが住む秋田県の内陸部は真冬になると氷点下5℃以下になる
ことがしばしば有ります。時には氷点下15℃になる日もあるくらい寒い地域です。

そんな寒い冬場で悪天候により停電が起きることがたまに有ります。問題は停電時間や気
温によってエコキュートの室外機のある部分が凍ってしまい、停電が解消されても直ぐに
は使えない事がある
のです。この「ある部分」というのは色々なケースがあるので特定は
出来ませんが、その中でも特に多いとされるのが室外機と貯湯タンクを結ぶお湯の菅です。
この部分ははもちろん保温されてヒーターも巻かれているのですが、停電になるとヒータ
ーも止まってしまうので凍ってしまうんですね。管内が完全に凍ってしまうと停電が解消
しても直ぐには使えないので、水道業者による解氷作業が必要になります。まぁ、これで
直ればOKなのですが、そうならない場合もあるのです。

それは室外機内にある管の中の水が凍ることで膨張し、管を破裂させる危険性がある事です。
こうなってしまうと室外機は交換するしかなくなります。
さて、ここで問題です!
貯湯タンクは建物内部にあるので、まだ使えるとして、室外機はどれくらいの価格で購入
できるでしょうか?

「答え」:仮にエコキュートのセット価格が35万円だとした場合、室外機だけの購入額はザ
ックリですが、30万円くらい掛かります。

「セット価格と比べたら余り変わらないな!」と思った方も多いと思います。私自身もそう
思いました。でもこれには理由があって、「エコキュートとは貯湯タンクと室外機の二つが
揃って一つの商品である。」という事が挙げられます。つまり、「エコキュートを購入する
人は貯湯タンクと室外機を別々に購入する事は無い」という前提があり、室外機だけを購
入する場合は部品扱いとなり、セット価格の適用対象外になるのです。

だったら、いっその事「セットで買って全部新しくしちゃえ!」と考えられる人もいらっし
ゃるかと思いますが、今度は入れ替えに掛かる工事費や既存品の処分費などが多く掛か
ってくるのです。耐用年数にはまだ届いていない場合、これはお客様にとって実に悩ましい
事態です。そして更に厄介なのが、仮に交換したとしても同じ事が起こる可能性が有る
ということ
です。

これを書いていてもう一つ勧めない理由④を思い出しました(笑)。それはエコキュートの
「追い炊き機能」はほとんど使えない!
ということです。ボイラーだと浴槽内のお湯を火で
加熱して送り込むのですぐに暖かくなりますが、エコキュートは貯湯タンク内のお湯から熱を
奪ってお湯を送り出すので全然暖かくなりません。追い炊きをするくらいなら熱いお湯を足
し湯で出した方が早いのです。ハッキリ言ってエコキュートの「追い炊き機能」は飾りの装置
としか言いようがありません。「追い炊き」で節水を期待するお客様にとってはガッカリする
機能である事は知っておいた方がよろしいかと思います。

まぁ、こういった観点から「FORESTの家」ではエコキュートをお勧めしていないのです。
では弊社でお勧めしている給湯器はと言いますと「エコフィール」と呼ばれる省エネ性の高
い石油ボイラーです。「時代に逆行している。」と思われる方もいるかもしれませんが、少な
くとも私がこれまで挙げてきた4つの問題点は起きません。そして仮に交換が必要になっ
た場合でもイニシャルコストが断然安く付きます。省エネ性も高いのでランニングコストも
結構安く、私は『コスパ最強』だと思っております。こういう機器を選ぶ基準を一つだけ挙
げるとすれば私は『シンプル イズ ベスト』だと思うのですが、皆さまはいかがでしょうか?

エコキュートをお勧めしない理由②

前回、お客様に対して私がエコキュートをお勧めしない第一の理由「衛生面」に続いての第
二弾を送らせて戴きます。
第二の理由としては「取り替えが大変である!」という点を挙げさせて貰います。予め言っ
ておきますが、この「取り替えが大変!」というのは多雪地域のみを限定した理由になりま
す。「え!どういうこと?」と思われた方も多いと思います。多雪地域と一般地域で何の
違いがあるのか知らない人の方が多いので当然ですが、実は貯湯タンクの置き場所が全く
異なるのです。一般地域では貯湯タンクも室外機も外部に設置しますが、多雪地域では雪害
から機器を守る為に貯湯タンクは建物内部に設置される場合が多いのです。

さて問題はここからです。新築工事でエコキュートが採用された場合にエコキュート機器
が搬入されるのは、どの段階かご存知ですか?設置場所にもよりますが、多くの場合は木工
事の時でフローリングを貼り終えた後です。そして設置されるのは仕上げ工事が終了した
後ですが、この順序には理由があります。普通に考えると設置するタイミングで納品される
と思われるのでしょうが、その1か月以上も前に機器が納品されるのは貯湯タンクの大き
さに問題が有るからです。仮に良く使われる460ℓのサイズはメーカーによって若干の違い
が有りますが大体「幅630㎜×奥行760㎜×高さ2,160㎜」くらいの大きさになります。
この時点では本体に傷が付かないよう梱包されていますので、実際に建物内へ入れる際は
一回り大きな物体を運び込む事になります。

「なぜ設置する時に合わせて納品しないのか?」という点において、勘の鋭い方はもうお解
りかと思います。これだけ大きな物体でしかも重量が100㎏以上も有るモノを本体はもち
ろん壁や床、建具など何処にもキズを付けずに運び入れる事がどれだけ大変かは想像がつ
くと思います。だから工事業者はそのリスクを避けるためにわざわざ貯湯タンクを早い段
階で搬入するのです。こうする事で内部の何処にもキズを付けることなくきれいに設置され
て完成する訳です。まぁ、完成時はこれでめでたし、めでたしですが、その時点で数十年後
に起こる事態を考えた人は何人いらっしゃるでしょうか?

どんなに優れた住設機器でも耐用年数が有り、いつかは必ず交換をしなければならない時
がやって来ます。その時に貯湯タンクはどのようにして外に運び出すかを、あなたの設計士
は考えてくれていますか?冷蔵庫よりも大きくて重く、出入り口建具よりも背が高い貯湯
タンクを持ち運びだすのは至難の業です。しかも建物内部にキズを付けることもなく出す
となると更にハードルが高くなります。無事に出せたとして、今度は代わりの貯湯タンクを
搬入しなければなりません。逆に考えると今ある貯湯タンクが運び出せないとなると、新し
い貯湯タンクも運び入れられないという事になるのです。

私はかつて勤務していた会社で現場監督をしていた際に上記の疑問を持つようになりまし
た。図面上では整然としたレイアウトにしたつもりでも、メンテナンスの事まで頭が回って
いない設計士はたくさんおります。そして彼らに共通するのは「現場経験が殆どない。」と
言う点です。現場経験が豊富な設計士はデザインだけではなく、住み始めた後に起こるメン
テナンスの事まできちんと考えているものです。

いかがでしょうか?エコキュートを既に導入された方でこの問題に該当する方は今から対策
方法を検討し、その時に備える事を、そしてこれからエコキュートを導入する家を建てられ
る方は計画段階から取り替え可能な設計になっているかを設計士としっかり打ち合わせを
される事をお勧め致します。

エコキュートのお掃除されてますか?

私はこれまで一度も『エコキュート』をお客様へ勧めたことがありません。理由は3
つありますが、今回はその中で一番疑問を感じていた一つ目に触れたいと思います。
その一つ目とは"衛生面"についてです。

エコキュートは貯湯タンクとヒートポンプでお湯を作る室外機の組み合わせから成る
給湯機器ですが、一番疑問に感じるのが貯湯タンク内部の衛生状態でした。例えば「電
気ポットでも内部にカルキが付いたり、ヌメリが付いたりするのに、貯湯タンクには
そういうモノは付かないのだろうか?」という疑問を私はずっと持っていました。

そこで東北電力へ「エコキュートの貯湯タンク内は長く使用していて問題はないの
か?」と質問をしてみました。
数日後に東北電力から回答が来ましたので、お知ら
せします。

【東北電力の回答】(編集は一切ありません)
エコキュートの貯湯タンク内の衛生状態は、長期間使用している場合に注意が必要
です。
以下のポイントを把握し、適切なメンテナンスを行うことで、安全性を保つ
事ができます。
① 定期的な洗浄と除菌
 ・貯湯タンク内は温かく温度が高いため、雑菌やカビの半直が起こりやすいで
  す。
 ・定期的に貯湯タンクを洗浄し、除菌剤を使用して清潔に保ちましょう。
② 温度管理
 ・貯湯タンク内の温度を適切に管理することも重要です。
 ・高温で保管することで雑菌の繁殖を抑えることができます。
③ 水質管理
 ・貯湯タンクには水道水が入っているため、水質にも注意が必要です。
 ・水道水の含有物質や硬度によって、タンク内に石垢や汚れが発生することが
  あります。
 ・水質改善フィルターを使用するか、定期的な水質チェックを行いましょう。
④ 定期的な点検
 ・専門家による定期的な点検を受けることをお勧めします。
 ・タンク内の状態や配管の異常を確認し、必要に応じて修理や交換を行います。
⑤ 飲用は避ける
 ・貯湯タンク内のお湯は飲用を避けた方が良いです。
 ・飲用用途には別途浄水器を使用しましょう。

-以上-

いかがでしょうか?

エコキュートの貯湯タンク内を定期的に洗浄されている方って全体で何%おられる
のでしょうか?と言うか、洗浄をしなければならない事を知っているユーザーさん
って殆どいらっしゃらないかと思いますけど・・・。

新築工事やリフォーム工事が完了し、引き渡しの際に住宅会社からこのような説
明を受けていたとすれば、その会社は素晴らしいですね。ただ、東北電力が言
「定期的に貯湯タンクを洗浄し、除菌剤を使用して清潔に保ちましょう。」
てどうやるんですかね?その辺のやり方もきちんと説明しているのであれば、
本当に素晴らしい住宅会社だと思います。

私はYouTubeなどで「洗浄方法」を探しましたが、タンク内のお湯を入れ替
えをして給水フィルターの掃除をするくらいの動画しか見れませんでした。もし
これで「洗浄した!」と言うなら全く話にならないですね。また根本的にタンク
内の洗浄ってどうやるんですかね?除菌剤を使用したなら、それがちゃんとタンク
内から排泄できたかを確認しないと怖くてエコキュートから出るお湯は使えない
と思いませんか?と、まぁ一つ目の理由はこのようなものでした。

これだけ書いて「まだ勧めない理由が2つも有るんかい⁉」と呆れる方もおら
れると思いますが、有るんです!残りの2つは現場監督をしていた人間だから
こそ分かることで、一般の方はそういう状況にならないと分からないことです。

それでは次回、この続きをお話しさせて戴きます。ではまた、see you !

メガスター大谷翔平の人格形成に学ぶ

サッチャーの言葉と原田メゾット

"考え" が "言葉" になる
その "言葉" が "行動" になり
その "行動" が "習慣" になる
"習慣" こそが、その人の "人格" となり
その "人格" がその人の "運命" となる
"考え" が "人間" を創るのだ

これは英国の元首相マーガレット・サッチャーが語った言葉である。この言葉を聴いた後に
大谷翔平選手が高校時代に書いたとされる「原田メソッド式人間形成シート」を見てみる
と、彼が世界中の人々から人格者と評される理由が見えてくる。
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例えば『運』。『運』に恵まれるには日頃から「ゴミ拾い」をし、「審判さんへの態度」も
忘れないように書いてある。『メンタル』を強くするには「一喜一憂しない」「頭は冷静に
心は熱く」「雰囲気に流されない」「仲間を思いやる心」「勝利への執念」などが書かれて
いる。さらに『人間性』については「感謝」「継続力」「礼儀」「思いやり」などを身につ
ける必要性を書き出している。

これを高校時代に考え、10年以上経った今でも実行し続けている。ここでサッチャーの言
葉の一文にある『"習慣"こそが、その人の"人格"となり』が重なってくる。メジャーの球場で
ゴミを拾い、自分のポケットに入れるシーンが多く放映された。
たくさんのメジャーリーガーがいる中であのような行為を自然に行えるのは、それが彼の習慣になっているからである。
打席に立つ際に審判へ挨拶するのもそう、自分が打ったボールが相手チームのキャッチャーに当たった際も声を掛け、気遣う場面もすべて自然体なのは習慣化されている証拠である。

彼の行動で評価されている部分は彼にとって習慣化されている事なので、大谷選手自身はなぜ
人格者と評されるのか恐らく分かっていないと私は推察する。そして彼の評価は『その"人
格"がそのひとの"運命"となる
』に繋がっていく。昨年末に名門ドジャースとプロスポー
ツ界最高額での契約である。
たった一人の野球選手の年俸が日本のプロ野球チーム全員分の年俸を超えてしまうのだから、真にメガスターである。

多くの選手は多額のお金が手に入ると堕落していくものだが、大谷選手に関してはその危険
性を全くと言っていいほど感じさせない。彼は純粋に野球が大好きで、「もっと上手くなり
たい、もっと勝ちたい、そしてワールドシリーズで何度も優勝したい」という気持ちしかな
いのであろう。大金は手にしたが、金の為に野球をしているという考えは持っていないよう
に感じる。

『二刀流』という100年間忘れ去られた概念を思い出させた大谷選手には長く活躍して貰
いたい。肘を2度手術したので、投手として復帰したらケアをしっかりと行い、休養もちゃ
んと取って貰いたい。せっかく球場にいったのに大谷選手が出場していなかったという可哀
そうなファンが出てくると思うが、これからは長くプレーし続ける為に何が必要かを「原
田メソッド」で再考し、実行して欲しいと思う。そしてこれまで以上の活躍で日本を、世界
を明るくしてくれる存在で有り続けて貰いたいと願うばかりである。

ハウスメーカーの功罪

『宮大工の職人魂を住宅建築へと活かします。』これはあるハウスメーカーが自社ホーム
ページで語っている言葉です。思わず笑ってしまうのは私だけではないと思います。建築
を知っている人間であれば「言っている事とやっている事が全然違うじゃない。」と思うはず
です。

『宮大工の職人魂』を語るのであれば、釘や金物を使わずに家を造る日本古来の建築工法
で建てるべきで、集成材や金物に頼った現代建築しか造らないのであれば『宮大工』の名
を語らないで戴きたい。そもそも本物の宮大工はプレカットされた家など建てませんから。

現代建築は人間を寒さや暑さから守る上では非常に優れた工法だと思います。しかし、日
本の気候風土を考えてみると、元々日本古来から受け継がれてきた純日本建築工法の素晴ら
しさは全くと言っていいほど消し去られた感が否めません。特に北東北の家と九州の家に違い
が殆ど無い(デザインや間取りなど)というのは「オカシイ」のです。

日本は世界的に見れば国土が小さな国ですが、東西南北に長く、同じ国でありながら気候
が全く異なる地域が数多く点在する非常に珍しい国です。気候が異なるという事は、造る
家にもそれなりの特徴が有って然るべきなのですが、残念ながらそういう地域の特徴をな
くさせた張本人は全国に支店を持つハウスメーカーであると私は思います。

然りながらハウスメーカーが日本全国の建築業界に与えた良い影響を挙げるとすれば、それ
は『お客様ファーストの家づくり』だと思います。お客様の夢や希望を真摯に聴き、それを
カタチにする姿勢は昔気質の工務店には無く、事実そういう工務店はほとんど淘汰されてい
きました。

今は小さな工務店であってもハウスメーカーよりたくさん勉強をして、ハウスメーカー以上に
高性能で価格が安い家を建てている社長さんたちが全国にたくさんいます。住宅価格が高騰の
一途を辿っている現状において、より安く住宅を建てたいとお考えの方は地元で優れた技術
とサービスを持った工務店を探されることをお薦めします。

仮に3,000万円の予算で家を建てようと考えた際、ハウスメーカーと工務店では家の
工事費にかかる金額は最低でも180万円は違います。工務店の方がより多くの予算を
あなたの住宅に掛けてくれます。これは単純に広告費の違いによるものですが、会社が大
きければ大きいほど多くの広告費が掛かる訳で、先ほどの180万円の違いはこれに該当
します。

個人的見解ですが、私にとって180万円は大金ですので、私がお客様の立場であればハウ
スメーカーには頼みません。「それはブランド料だ。」と思われる方はハウスメーカーで宜し
いかと思いますが、そうは思えない方はぜひフォレストへお問い合わせください。住宅建築
業界の裏側を、ハウスメーカーが絶対に教えてはくれない真実をコッソリお教えします。