FORESTが考える健康住宅 其の一『自然素材』

こんにちは! 誠心住工房フォレストの佐々木です。


皆さんは『健康住宅』と聞いて、どういう住宅を想像しますか?

フォレストでは三つのキーワードを掲げて『健康住宅』と定義しております。一つは「自然素材」、もう一つが「水」、そして最後に「床暖房」です。

先ず今回は「自然素材」についてお話しをします。住宅で「自然素材」と聞くと多くの方は塗り壁や無垢のフローリングなどを想像されるかと思います。弊社では床暖房を標準仕様としていますので残念ながら無垢のフローリングは特注対応となりますが、塗り壁は建物のグレードに関わらず標準仕様としています。天井には珪藻土クロスを標準仕様としていますが、室内の内壁は漆喰の塗り壁で仕上げられます。自然素材の材料の種類は複数ご用意しておりますが、とにかくビニールクロスだけは絶対に使用しないようにしています


なぜビニールクロスを使わないのか?

それはビニールクロスの素材は全て化学物質から成るものだからです。ビニールクロスは一般的に一番多く使用されている内装材なので何の疑問も持たないお客様が多いかと思います。ところがです、世界的に見るとビニールクロスを標準的に内装材で使っている国は日本だけなのです。例えば欧米の住宅ではドライウォールと言う塗装が一般的で、クロスを貼ったとしても素材は紙や布に限られます。ちなみにドライウォールとは「水性アクリルエマルジョン塗料で塗った壁」意味し、シックハウス症候群や化学物質過敏症にも対応したものが使用されますが、日本ではなぜか普及しておりません。

どうして日本だけビニールクロスを使うようになったのかは分かりませんが、おそらく安価で施工が早く、柄も豊富なのが理由かなと個人的には思います。弊社では数年前に塗り壁を標準仕様にして販売したところ、お客様から「価格を下げたいので塗り壁を止めてビニールクロスにしたい」とのご要望が有って止むなくそうした事があり、塗り壁の標準仕様を止めていた時期が有りました。でも諦め切れず2023年に建てられたお客様に「なぜ自然素材の塗り壁なのか」をしっかりと説明し、ご納得して戴き、初めてお客様の住宅で塗り壁を施工させて貰いました。お引き渡しから一年後にお客様から塗り壁の特長である「消臭効果や調湿効果が実感出来ました。」と感想を聞いて、塗り壁標準仕様を貫ぬく気持ちになりました。

住宅業界では化学物質から成る建築資材には一般的に健康被害が起こらないと言われるF☆☆☆☆品が使用されます。しかし、F☆☆☆☆品を使っても人体に悪影響を及ぼす化学物質の含有量がゼロにはなりませんつまり健康被害弱者にとっては例えF☆☆☆☆品で出来た住宅であっても住む事が叶わないケースも有り得るのです。また化学物質から成る資材から放出される有害なガスは半永久的に出続け、床面から60cmの間に滞留します。高気密住宅であれば外部に放出される事もないので、有害なガスは常に滞留した状態になります


さて、この床面から60cmまでの高さに口や鼻があるのは誰でしょうか?

そう、それはハイハイをする赤ちゃんやヨチヨチ歩きをする幼児ですね免疫力の少ない赤ちゃんや幼児が何年も有害なガスを吸ってどうなるかを真剣に考えた事がありますか?

私は現代病と呼ばれる様々な病気の原因は現代建築による部分が大きいと考えています

昭和の時代に建てられた住宅にも化学物質から成る建材が今より多く使われていましたが、現代ほど病人が出なかったのは隙間だらけの住宅で有害なガスが放出されても至るところの隙間から外部に流れ出たからとも言えます。

住宅に使われる資材から化学物質を全て取り除いた「オール自然素材の家」は建てようと思えばやれない事は有りませんが価格的な面で考えれば、それで建てられるお客様はごく一部の富裕層に限られるでしょう。弊社でも「オール自然素材の家」は建てられますが、そのような住宅はメイン商品には成りません。やはり価格面で考えれば化学物質を使った建材を多かれ少なかれ使わざるを得ないのが本音としてあります。ではそれらの建材を使いながらどうやって「健康住宅」にしていくのでしょうか?

そこで話が前段に戻ります。天井と内壁を内装材が占める面積は床面積の4倍以上にもなります。サッシや内部建具の面積を差し引いたとしても、かなりの面積を占める事に変わりませんここにビニールクロスではなく、自然素材の内装材を使う事で室内の化学物質量は大幅に低減します。しかも自然素材で有る塗り壁を使うと室内の調湿効果や消臭効果も期待出来ます。また何よりも他の建材から放出される有害なガスを吸着・分解までしてくれるのです

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これらの効果は建物に一度入っただけでは分かりません。有害なガスも目で確認する事は出来ません。長い時間住んでみて初めて分かることなのです。

弊社では実際に住まわれたお客様にYou Tube動画に出演して戴き、生のご感想をお話しして戴く企画を考えております。今年のG.W頃までには発信出来るよう、頑張りたいと思いますので是非ご期待ください‼

2025年の年頭に当たり

新年明けましておめでとうございます。
誠心住工房フォレストの佐々木でございます。
年頭に当たりご挨拶申し上げます。まずは今年4月に弊社は設立から10年を迎えます。起業した会社の10年後の生存率は6.3%とも言われておりますが、曲がりなりにも設立10周年を迎えられると言う事はこれまで弊社にご注文戴いたお客様方を始め、協力業者の皆々様のお陰で有ります。本当にありがとうございました。
私は地元の工業高校を卒業して東京や秋田市の建築会社で住宅を作り続け、31年ぶりに故郷横手に帰って起業しました。父親が板金業をやっておりましたが、私が行う仕事とは内容が異なるため実質ゼロからのスタートでした。「住宅は人生で最も高額なお買い物」と言われるように知名度も実績もない弊社への注文など簡単に来るはずもなく、弊社の船出は順風満帆とは程遠いものでした。弊社の知名度は現在でもまだまだ浸透しているとは言えない状態ですが、設立10周年を機に飛躍の年にして参りたいと思っております。

さて、これまでの10年で住宅に求められる要素は大きく変わってきたと感じます。特に大きく変わったのが「省エネ性能」と「耐震性能」ではないかと思います。もちろんこれらの性能は10年以上前からも言われていましたが、現在求められるレベルは非常に高く、且つその数値を証明書で表さなければならない時代へと進化しております。つまり、表向きに「○○性能が高い家」と漠然とした広告を打ったとしても、最終的にはそれを裏付ける証明書の発行が求められる訳です。具体的に言えば省エネ性能は「省エネ等級5(ZEH)」が、耐震性能は「耐震等級3」が最低限の標準仕様でなければ、これからのお客様には認めて貰えないと言えるのではないでしょうか。

2025年正月に当たり、弊社ではこれからご提供させて戴く注文住宅には共通した二つのコンセプトを持ってご提案をさせて戴きます。一つは『100年住宅』です。これはその名の通り100年持つ住宅をご提供させて戴くと言う意味です。もちろん建ててから何もメンテナンスをせずに100年持つと言う意味では有りません。外装材は定期的な補修が必要ですし、水廻り機器も耐用年数が来れば交換は必要です。弊社が提唱する『100年住宅』とは交換が可能な部分ではなく、目に見えない箇所や交換が難しい部分が100年持つと言う意味で有ります。代表的な部分といえば「構造駆体」や「断熱材」、「二次防水部分」などが挙げられます。
そしてもう一つは『健康住宅』です。健康住宅については後日改めて詳しい解説をさせて貰いたいと考えておりますので、今日は一つだけ宣言をさせて戴きたいと思います。それは「ビニールクロスZEROの家」宣言です。弊社では2023年の注文住宅からビニールクロスを一切使わない「自然素材の家」を継続して施工させて戴いております。現在の住宅資材は化学物質無しでは製品化出来ないほど多くの資材には少なからず化学物質が入っております。我々住宅会社が使う建材類にも化学物質が入ったモノが多く有りますが、一般的にF☆☆☆☆品であれば健康被害は無いとされております。しかし例えF☆☆☆☆品であっても人体に健康被害を及ぼす化学物質が微量でも入っている訳で、それらから放出されている目には見えない有害なガスは半永久的に出続けるのです。特に天井と壁は住宅の中では圧倒的な面積を持ち、それらに化学素材だけで出来ているビニールクロスを使う事は絶対に避けるべきだと弊社では考えております

お客様から住宅会社として選ばれる場合、お客様のご要望やイメージとマッチしないと出会う事すら叶わないケースも多々あります。また出会ったとしても話が嚙み合わないケースも有ります。そんな時、これまでの弊社は絶対に譲ってはならないポリシーに目を瞑ってまで契約に固執したケースが何度かありました。これは会社を継続させていくには、ある意味仕方ない事だったかも知れません。しかし、逆にこの行為は「どのような住宅を作ろうとしている会社」なのかが、お客様に伝わらない事に繋がる危険性もあると数年前から思うようになったのです。そして昨年建てさせて戴いた注文住宅の完成内覧会でポリシーを曲げない事がどれだけ重要な事かを再認識させられました。

そこで弊社は『100年住宅』と『健康住宅』という二つの普遍的コンセプトを持った住宅のみをお客様へご提供させて戴きたいと改めて心に刻んで2025年へ挑みたいと思います。私は弊社をご自宅の新築(又はリノベ)工事業者として選んで戴いたお客様には絶対に後悔をさせたく有りません。その為にも弊社の考える『家づくりのポリシー』についてしっかりと理念をご説明し、きちんとご納得して戴き、一緒に楽しくお客様の夢を具現化して参りたいと思っております。住宅価格の高騰で今や坪単価80万円~100万円が大手・中堅ハウスメーカーでは当たり前の価格帯になっておりますが、小さな工務店ゆえの強みを活かしてどこよりもコスパの高い住宅をご提供させて戴く所存ですので、これから「家づくり」をご検討されている方は是非一度弊社へご相談ください!

最後になりましたが、本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

サッシ選びで後悔しないポイント

家づくりにおいてサッシ選びはとても重要なポイントです。特に寒冷地においては尚更です。例えば床、壁、天井の断熱性能がとても優れた部屋に一つだけ窓を付けた場合、部屋の熱が逃げる部位は窓である可能性がもっとも高いと言えます。付けた窓が性能の高いサッシだとしてもです。つまり窓が無い家ほど断熱性能が高い家になる訳です。ですが通常住宅において窓の無い家は存在しません。なぜなら窓の無い住宅は確認申請が下りないからです。住宅を建てる場合、各部屋毎に採光量の計算が求められます。トイレや浴室などは窓が無くても通りますが、居室の場合は大なり小なり窓が必要になります。窓を付ける事で断熱性能が落ちることが分かっていても、建築基準法上窓は必ず付けなくてはならないのです。

上記のことから窓が住宅内の熱損失の最大要因であるならば、サッシは高性能なモノを選ぶべきと考えるのは当然で多くの住宅会社は樹脂サッシを奨めてくるでしょう。確かに樹脂サッシの熱損失量は他のサッシに比べると少なく、ある意味ベストな選択と言えるかもしれません。

でも弊社では敢えて樹脂サッシは選びません。その理由は『樹脂サッシの耐久年数に疑問がある』からです。この『耐久年数に疑問がある』とはどういう事か不思議に思われる方も多いと思います。そこで下記の写真をご覧いただきたいと思います。

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これは20数年前にリフォームを依頼されたお客様のお宅で撮った写真で、築27年を経過したサッシの状態です。小さくて分かりづらいかと思いますので解説させて戴きます。これは樹脂サッシのフレームの縦枠と横枠、そして開き窓の縦かまちと横框のジョイント部分が離れてしまい、4mm程の隙間が生じた写真です。樹脂サッシの特徴として部品と部品のジョイント部分が溶着による接合で製品が作られている事が挙げられます。この溶着とは高温で溶けた状態の時にそれぞれの部品を貼り合わせ、徐々に冷却しながら硬化させる接着方法です。

私はここの現場でこの樹脂サッシを見るまでは一度も樹脂サッシに疑念を持った事が無かったのですが、この日を境に考え方が大きく変わりました。確かに樹脂サッシほど断熱性能が高いサッシはありません。しかしながら「断熱性が高い」というだけで本当にこのサッシを選んで良いものでしょうか? 国は我々に100年持つ住宅を求めています。私もこの考えには賛成で、どうしたらそのような家づくりが出来るのか日々試行錯誤をしております。その中で窓というパーツはとても重要な存在なのです。前段で申し上げた通り、室内の熱が外に逃げないようにするには高性能なサッシが必要なのです。しかし、そのサッシの寿命が30年も持たないとすれば、意味が無いのです。

現代の樹脂サッシの寿命が何年になったかは分かりません。しかし出来上がったサッシを見れば作り方は昔とあまり変わっていないように見えます。溶着技術が進歩して耐久年数が長くなったかもしれませんが、だからといって私は耐久年数が2倍以上になったとは思えないのです。そういう考えを持ちながらも樹脂サッシに取って代わる新商品が無い状態が10年以上続きました。そして2018年にとうとう私が待ち望んでいた新しいサッシが登場しました。LIXIL製「サーモスX」と言う高性能ハイブリッドサッシです。

ハイブリッドサッシと樹脂サッシ.JPG

このサッシは外がアルミ製で内が樹脂製のサッシです。ここまで聞くと「それってただのアルプラサッシじゃないの?」と思われる方も多くいらっしゃるかと思いますが、構造が全く違います。参考までに一般的なアルプラサッシの写真もご覧ください。

ハイブリッドサッシとアルプラサッシの構造.JPG

いかがでしょうか?外目で見たら同じようなサッシですが、内部構造は全く別物です。実際に性能値にも大きな差が有り、サーモスXは樹脂サッシに近い性能値になっております。数字だけで見れば樹脂サッシより少しだけ劣りますが、体感的にはその違いは感じないほど優れています。そして何よりも私が強調したい事はこのサッシの耐久性なのです。外にアルミを使う事で耐久年数が大幅に伸びるのです。アルミ製のサッシは昭和の時代から使い続けられ60年以上経過したモノでも現役で使われており、その耐久性能は既に立証されております。多くの住宅会社は「断熱性能の高さ」だけを追い求め、それだけをお客様に伝えます。しかし前段で紹介した剥離現象がもし起こった場合の事まで考えている会社は数少ないと思います。要はサッシを選ぶ際には断熱性能ももちろんですが耐久性能も高いモノ、つまりトータルバランスで優れた製品を選ぶ事が後悔しないポイントとなるのです。

金属製屋根を選んで後悔しないコツ

近年、頻繁に発生する大地震。日本はどこに住んでいても、そのリスクがある地震大国です。事実、世界中で起こるマグニチュード6.0以上の地震で見れば、日本だけで20%も占めているのです。地球儀で見ればホントに小さな島国で全世界の20%を占めると言うのは異常なほど多いと言わざるを得ません。昔から大地震は有りましたが、最近はほぼ毎年のように起きているように感じているのは私だけではないと思います。

2024年元日に起きた能登半島地震は最も記憶に新しい災害ですが、住宅の被災状況を見ると阪神淡路大震災の時と類似していると思います。いわゆる「頭でっかち」な造りで1階部分が押し潰され倒壊というパターンです。この場合、屋根材には瓦が使われているケースが殆どで、1階の外壁面には開口部が多く設けられ、耐震壁が少ないというのが特徴的かと考えます。阪神淡路大震災以降、この教訓を活かして「新築」の場合は耐力壁をバランス良く配置し、壁量計算もしっかり取る方向に変わってきましたが、既存住宅全体までには活かされていない事が今回の地震で改めて痛感させられました。

さて、前置きの話と金属製屋根の関係性ですが、これはとても重要な事として捉えて戴きたいと思います。地震で倒壊した家屋の屋根材は瓦と言いましたが、日本瓦の場合で1㎡当たりの重量は60kgになります。仮に間口8.19M×奥行8.19M=67.07㎡の総2階建て(延床面積約40坪)の家の屋根(4寸勾配)を瓦で葺いたとしましょう。屋根には軒の出も有るので、それぞれの出寸法を60cmとすると面積は8.79M×8.79M=77.26㎡になります。これに屋根の勾配係数1.077を掛けます。すると屋根の面積は83.21㎡になります。これに瓦の重量を掛けると83.21㎡×60kgで4,992.6kg、つまりおよそ5tの重量物が屋根の上に常時載っていることになります。例えて言うなら大人の像が一頭屋根の上に居座っているようなものなのです。

これに対してガルバリウム鋼板を始めとする金属製屋根の重量は1㎡当たり僅か6kgで、何と瓦屋根の1/10の重量しかないのです。この圧倒的な軽さは「頭でっかち」で重心がアンバランスな建物を飛躍的に重心バランスが向上された建物へと変え、地震が起きた際の被害を軽減してくれるのです。ガルバリウム鋼板が出てくる以前の金属製屋根はトタン屋根と呼ばれ、関西の方では「小屋の屋根材」と揶揄されてきました。ところが阪神淡路大震災以降は建物の軽量化が叫ばれ、雪の降らない地域でも金属製屋根が多く使われるようになった訳です。

私が住む秋田県横手市は豪雪地帯ですので、昔から屋根材は金属製一択でした。ただトタン屋根の時代と比較するとガルバリウム鋼板製の屋根の方が綺麗でデザイン性も良く、耐久性も高くなってきたと感じています。屋根の勾配や家の外観デザインで葺き方は変わりますが、基本的な部分は変わらないと思います。この基本的な部分というのが実は「後悔しないコツ」に当たりますので、よーく聞いてください。

多くの住宅会社が屋根葺きの際に当たり前のようにやっている間違った施工方法が二つあります。
①野地板(屋根板)に構造用合板を使用している
②下葺き材にアスファルトルーフィングを使用している

素人の方にはどこが間違っているかは分からないと思います。実は住宅会社さんでも理解していない所の方が圧倒的に多いのです。

まずは野地板に構造用合板を使用している件ですが、真夏の気温が30℃以上の場合に屋根材の表面温度は70℃を超えます。冬は秋田の場合、-5℃~-15℃まで下がります。瓦屋根の場合、瓦は屋根の下地材に直接触れる事は有りませんが、金属製屋根の場合は直に、しかもベッタリ触れます。つまり先程記載した温度が下地材に直接伝わるのです。構造用合板は7~9層の薄い板を接着剤で貼り合わせて出来た板です。構造用とは言え、悪く言えば生産方法はベニヤ板と同じです。夏と冬で気温差が80℃以上も違う環境が何十年も続くとやがて接着剤が劣化し、剥離してくるのです。これを防ぐには野地板に無垢の杉バラ板を張るのが一番効果的です。特段杉材に限定はしませんが、無垢のバラ板を使う事をお勧めします。そうすることで剥離の問題は解消され、耐久年数も大幅に伸びます。

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次に下葺きに使うアスファルトルーフィングですが、これを問題にしている住宅会社は①より稀だと思います。ただ構造用合板以上に屋根材の熱がダイレクトに伝わる部位ですので、より過酷な環境下にある訳です。私がここで問題視にしているのは下葺き材の主原料であるアスファルトです。アスファルトルーフィングは昔のアスファルトフェルトに比べれば遥かに耐久性は良くなりましたが、主材は変わっていません。アスファルトの最大の欠点は高熱による『油分の気化』です。つまり高温にさらされるとルーフィングからどんどん油分が抜けていき、やがてルーフィング材は紙状態となって防水性能が失われていくというリスクです。このリスクを避ける為、弊社ではファイバー製4層構造のルーフィング材を使用しております。この材料はアメリカ製で本国では40年保証がされている優れものです。国外である日本ではメーカー保証の対象にはなっていませんが、いずれこのような材料が日本でもスタンダードになってくると思います。

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ささきの木

これは誠心住工房フォレストが発信するYouTubeのタイトル名です。動画の内容は主に
「雪国に適した家づくり」となっていますが、部分的には雪の降らない地域でも役に立
つ内容も含まれているので是非多くの人に見て戴きたいと思います。

申し遅れました。私は誠心住工房フォレスト代表の佐々木利幸と申します。初めに簡単
では有りますが、私の経歴を紹介させて戴きます。

昭和59年秋田県立横手工業高校建築科を卒業後、同年渋谷に本社が有るT急ホームへ
入社。平成元年にM菱地所ホームへ移籍。平成2年にN村不動産に移籍し、約8年半東
京の大手ハウスメーカーで現場監督を経験してきました。平成4年9月に帰郷し、秋田
市のMワールドへ入社、平成19年にMの家に移籍し、この間設計業務、パネル工場の
工場長や商品企画開発業務などを経験してきました。サラリーマン人生最期の会社とし
てS友不動産の新築●っくりさんに入社し、約3年半住宅リフォーム業の営業、設計、
工事管理を経験して参りました。

平成27年4月に株式会社フォレストを設立し、木造住宅の新築とリフォームの設計・
工事請負を主たる業務として現在に至っております。住宅業界に入って丸40年になり
ますが、これまで培ってきた知識や経験を元に、これから住宅を建てられるお客様へ有
意義な情報提供をして参りたいと思っております。

さて建築業界はここ数年激動な時期を迎えています。きっかけはウッドショックですが、
コロナウイルスの世界的感染とロシアのウクライナ侵攻が拍車を掛けました。ようやく
コロナが収まりつつ有りますが、いま日本では数十年ぶりのインフレと記録的な円安で
全ての商品が高騰しています。もちろん住宅価格も例外では有りません。ウッドショッ
ク発生後から毎月のように値上がりして昨年で一旦落ち着いた感がありましたが、止ま
ぬインフレと円安が歯止めの効かない状況を引き起こしています。正直言ってウッドシ
ョックが始まった頃に住宅価格がここまで上がるとは誰も想像していなかったと思いま
す。ザックリですが、約3割は上がったのではないでしょうか?仮にウッドショック以
前に2,000万円で買えた住宅がいま買うと2,600万円もする訳ですから、これ
は尋常では有りません。私たちが手にする給料の伸び率も一律3割上がれば問題にはな
りませんが、世の中そんなに甘くは有りません。大手企業がこの春に大幅なベースアッ
プを行いましたが、国民の多くは中小企業の働き手です。日本国民が今の物価を普通と
感じるまでに、あとどのくらい時間が必要なのでしょうか?

さて話をウッドショック発生時に戻しますが、あの時にロシアからの木材輸入がストッ
プし、北米からの輸入も大幅に減り、丸太の価格は確かに上がりました。しかし、我々
に提示された木材価格の上昇率と丸太価格の上昇率には大きな乖離が有りました。
実は丸太価格の上昇率はそんなに大きくはなかったのです。まぁ言ってみれば他国の木
材事情を逆手に取って「いま上げないで、いつ上げるんだ!」という木材業界の仕掛け
た罠にはめられた訳です。その証拠にこの期の木材会社の決算は軒並み売上高大幅アッ
プで過去最高です。高値で今まで通りの数が売れれば当然ですが、問題は利益です。
何とこれも過去最高の利益を上げているのです。ウッドショックで原価が上がっている
のであれば、利益は例年と変わらないはずなのに過去最高で前年比大幅アップ!って
おかしくないですか?正にボロ儲けとはこの事です。

先述した通り、ウッドショックにコロナウイルスの世界的流行が拍車を掛け、木材のみ
ならず有りとあらゆる資材が一斉に値上がりしました。そしてその結果が現在の住宅価
格に反映されている訳です。が、それにしても高すぎると思いませんか?ほとんどの住
宅会社が坪単価80万円以上、高い処だと100万円の価格で売っています。弊社の計
算ではウッドショック前と後で約3割アップしたと考えております。仮に以前60万円
/坪で販売されていたとすれば現在の価格は78万円/坪です。ウッドショック以前の坪
単価60万円であればそれなりに品質の高い住宅が建てられました。弊社では何とか坪
単価80万円未満で良質な住宅をご提供できるよう企業努力しております。

YouTube「ささきの木」ではこれから家を建てようとする方にとって有意義な情報提供
して参ります。特に雪国にお住まいの方にとってはとても参考になる動画となるでしょ
う。また政府が提唱している「100年住宅」を建てたいと思われている方にも同様で
す。発信するまであともう少しです。是非ご期待ください。

ハウスラップは製造元が重要です!

「ハウスラップ」と言う言葉をご存知でしょうか?
これは建物が上棟し、外壁の耐力壁が完了した後、外壁下地に張られる防水シート
(一般的にホワイト色)を指します。外壁材が張られると見えなくなるため、施工の早
い現場だとハウスラップは10日ほどで見えなくなります。
このハウスラップは外からの雨の侵入を防ぎ、内部から出た湿気を外に排出する特殊な
機能を持っていて、別名「防水透湿シート」とも呼ばれます。このシートの元祖と言わ
れているのが米国のデュポン社が作った「タイベック」です。タイベックが日本中の現
場で使われ始めると日本の建材メーカーも追随し、同様の機能を持った商品を発売しま
した。価格がタイベックよりも安く、同じ機能を持つと言うと振れ込みで多くの住宅会
社が採用していきました。

ところがです。新築して15年後に外壁の張替え工事で既存の外壁材を剥がして見たと
ころ、とんでもない状況が発覚したのです。日本製の防水透湿シートは全体的に虫が食
べたような穴が点在し、表面はブサブサで劣化が著しかったのです。劣化状況から推察
するとおそらくこのシートは10年も経たないうちに防水性能を失ったと思われます。
もちろん透湿性能も同様に機能を果たしていなかったと思います。

リフォーム工事を数多く手がけるようになって分かってきたのが、「タイベック」と
「日本製防水透湿シート」の違い
です。タイベックは『20年保証』と謳っているよう
に、15年経過した家の外壁材を剥がしても劣化が見当たらないのです。新品の時は触
っても違いがよくわからない商品ですが、製造技術や素材の違いでこれほど耐久性に違
いが出るとは当時は分かりませんでした。

それ以降、FORESTでは「タイベック」を防水透湿シートの標準品としてきましたが、
2023年からは「白いタイベック」の販売が終了し、「タイベックシルバー」と言う
遮熱型防水透湿シートしか選べなくなってしまいました。価格も約2倍に跳ね上がりま
したが、遮熱性能が付加されたことで住宅の性能も上がると思い込んでおりました。

しかし残念なことが判明しました。シート表面に塗膜したシルバーの素材が遮熱効果
を発揮してくれると期待していましたが、それほどの効果は有りませんでした。遮熱シ
ートを耐力壁に直接張れば紫外線などは反射してくれていると思いますが、太陽の熱は
伝導で本体に伝わるのです。断熱材の種類によっては蓄熱するので夏になると夜に蓄熱
された熱が放射され、暑くて快適に眠れないのです。

そこでFORESTでは2024年より防水透湿シートを「タイベックシルバー」から「ウ
ェザーメイトプラス」と言う商品に切り替えました。「ウェザーメイトプラス」も「タ
イベック」と同じデュポン社製の商品で信頼性は抜群です。この「ウェザーメイトプラ
ス」は「タイベック」とは素材そのものが大きく異なりますが、防水透湿シートとして
の機能は「タイベック」以上に優れた商品です。

FORESTではハウスラップに遮熱機能は求めず、あくまで「防水透湿シート」の機能性
と耐久性を求める事としました。かと言って遮熱性を捨てた訳では有りません。遮熱
についてはまた改めて触れたいと思いますが、最後に一言だけ申し上げたいことが有り
ます。それはハウスラップにデュポン社製以外の商品を使ってはいけないと言うことで
す(デュポン社製のハウスラップと同等以上の性能を有する商品が有れば別ですが)。
ハウスラップの商品名までお客様に開示している住宅会社がどれだけ有るのか分か
りませんが、一般的にお客様はあまり関心を持たない部分です。ゆえに安価な商品を使
う会社も少なくないのです。お客様はついつい外壁材にだけ目が行ってしまいがちです
が、その下にある防水層が"安かろう悪かろう"商品ではいざ漏水が起こった際に大問
題へ発展し兼ねません。そうならない為にも「防水透湿シート」には信頼性の高いメー
カーのモノを使うようにしましょう!

家の土台にはシロアリの被害に遭わないものを!

「家づくり」において構造部分はとても重要です。でも一般的に住宅会社が示す耐震等
級や簡易的な説明だけで殆どのお客様はスルーされていきます。「住宅会社の営業マン
が大丈夫です!安心です!と言っているのだから大丈夫だろう。」とお思いかも知れま
せん。また、「構造って難しいし、基準さえクリアしていればOK!」みたいに安易な考
えでおられるお客様も少なくないと思います。

そういうお客様に対して、ここで真剣に言っておきたいことがあります。家づくりにお
いて「完成してからでは見えなくなる部分の造りこそ本当に重要なポイント」なのです。
構造材はもちろん、断熱材や防水材の施工状況などが、その最たるものです。

前回は構造材の中でも柱材についてお話をさせて戴きましたが、今回は土台に絞ってお
話をさせて戴きます。なぜ弊社がここにこだわるのか?それは真面目に『100年住宅』
を目指している
からです。まず日本の家の耐久年数は先進国の中でも最低の32年です。
イギリスで75年、アメリカでも44年くらいの耐久年数があるのです。35年の住宅
ローンが終わらないうちに「建て替え時期です」ってガッカリじゃないですか?

政府は随分前から「100年住宅構想」を発表しておりますが、100年持たせるには
どこに何を使えば良いかまでは示しておりません。つまり、どこに何を使うかは住宅会
社が各々で考え、最終的に100年持つ住宅を作りなさいという曖昧な指針な訳です。
では全ての住宅会社が本当に100年住宅を目指した家づくりを行っているかというと
案外そうではない会社の方が多いと感じます。「100年住宅」を看板にしたある大手
ハウスメーカーの会長さんが「100年も持ったら我々の商売が成り立たない。」と本
音発言をして世間から反発された事もあったように表と裏の考えを持つ会社も多いと思
います。

そこで手っ取り早く「100年住宅」を目指している会社かどうかを見分ける方法とし
てお勧めしているのが、構造材に何の木を使っているのかを調べることです。結論から
言うと「集成材」を構造材に使っている住宅会社は本気で「100年持つ住宅を造ろう」
とは考えていない会社
だと思います。なぜならば、集成材には絶対に欠かせない接着剤
の耐久年数が100年持つとは考えられない
からです。集成材が世の中に出たのは70
年くらい前のようですが、現在のように構造の主要部分全体に使われるようになったの
は25年くらい前からだと思います。と言うことは、まだ100年持ったという実績が
無いのです。この実績と言うのは非常に重要なのです。弊社が推奨する無垢の木は古く
は奈良の法隆寺など1300年も前に建てられ、現存し続けています。法隆寺は家では
ありませんが、日本最古の木造建築物です。これだけの年数を持ち続けられているのは、
本物の木を使っているからであり、建設地とほぼ同じ気候の場所で育った木を使ってい
たことが挙げられると思います。この条件を現代の家づくりに当てはめると「無垢の乾
燥材」を使用し、その木は秋田であれば秋田県あるいは隣県で採れた木であれば、同じ
ように長期に渡り住み続けられると考えられます。

では何の木を使ったら良いのか?ということですが、弊社では土台には「青森ヒバ」、
柱には「秋田スギ」
を採用しております。柱については前回お話しましたので割愛しま
す。土台は木部で最も地面に近い部位ですので、もしシロアリが基礎を登って来たら一
番初めに食べられます。ところがその土台がシロアリにとって害が有って食べられない
樹種だったらどうでしょう。当然シロアリは食べずに引き返す訳です。そうなんです、
正にその樹種こそが「青森ヒバ」なのです。防虫・抗菌・消臭・防腐効果を併せ持つこ
の木は土台に打って付け
なのです。逆に言えばこの「青森ヒバ」より土台に適した樹種
は無い
と考えます。桧も素晴らしいですが、シロアリが嫌う「ヒノキチオール」の含有
量が桧よりも多いのです。

仕事柄リフォームで腐った土台を見ることがよく有りますが、ここに集成材を使ってい
たらもっとひどい状態になったであろうと思います。強度が低く、耐蟻性ゼロの集成材
ならば尚のことです。土台は建物に掛かる荷重や自重を基礎に伝えるとても重要な構造
体です。そこがシロアリの食害や雨水による腐食で本来の機能を果たさなくなれば、家
は崩壊します。ゆえに土台に使われる樹種が何なのかと言う事は重大事項なのです。

秋田県民はなぜ秋田杉を使わないの

日本にはたくさんの種類の木がありますが、中でも『日本三大美林』と呼ばれる木が有るこ
とをご存知でしょうか?
①青森ヒバ
②秋田スギ
③木曽ヒノキ
これが『日本三大美林』と呼ばれる木の名前です。お気づきですか?三大美林の内二つも北
東北にある木が選ばれているのです。秋田スギは学名で「日本の隠れた財産」とも呼ばれて
いるのですが、秋田県民でもこの事を知っている人は殆どいないと思います。正確に言うと
これは「天然秋田杉」を指しているのですが、現在は天然秋田杉の伐採は制限されていて住
宅の構造材に使う事は難しい状況にあります。しかし、植樹された秋田杉にもそのDNAは
引き継がれている訳で、そういう木が身近に有りながら外国産の木を使って家を建てると
いうのは凄くもったいないと思うのは私だけでしょうか?

集成材全盛の昨今ですが、FORESTでは無垢の乾燥材に拘った家づくりをしております。
土台には『青森ヒバ』を、柱には『秋田スギ』を使い、地産地消にも貢献しております。が、
もっとお客様に知って戴きたい事があります。それは大手ハウスメーカーや有名工務店が構
造材として使っている集成材の多くは日本の気候に適さない木である
ことです。

代表的な木はホワイトウッドやスプルス、オウシュウアカマツなどですが、これらの木は北
海道よりも緯度が高く、寒い北欧や北米で育った木です。問題はこれらの木の強度と耐蟻性
です。
JAS規格で日本のヒバやスギ、ヒノキは「D1」という強度の高い木に分類されていますが、ホワイトウッドやスプルス、オウシュウアカマツは「D2」という強度の低い木に分類されています。この強度の低い木を接着剤で塗り固め、集成材として強度を高めているのでしょうが、接着剤の強度は年を追う毎に低下の一途を辿ります。

そして極めつけは「耐蟻性ゼロ」という点です。つまりシロアリに対して全く抵抗する成分を持っていない木ばかりなのです。なぜならば、これらの木が育った地域にはシロアリは生息していないからです。一方、北海道を除く日本の木はシロアリが生息する地で育ちます。ヒバやスギ、ヒノキにはシロアリが嫌う「ヒノキチオール」と言う成分が含まれているので、土台や柱など地面から近い部分に使用する構造材には打って付けの樹種なのです。

いかがでしょう。日本で木造住宅を建てるのであれば、日本で育った木を使うが一番なので
す。
そして秋田で家を建てる人はぜひ地元産の『秋田スギ』に着目して戴きたいと思います。
弊社では本気で「100年以上住み続けられる家づくり」を目指しています。それを実現す
るには構造材以外の点も考えなくてはなりませんが、今回は構造材に特化してお話をさせて
戴きます。

ぜひ、ハウスメーカーのホームページをよく見てください。そして構造材に何の樹種を使っ
ているかを確認してください。先程挙げた樹種の集成材を構造材に使用している住宅会社は
ホームページにそれを載せていないのがほとんどです。『強度が低い「D2」で、耐蟻性の
無い木を使っています!』なんて、お客様が知ったらドン引きですよね。だから敢えて触れ
ていません。触れて欲しくないからお客様の目線を他の部分に向けたいのです。

そして最後にお客様!
構造躯体とは住宅の骨格です。その部分に集成材を使って本当に良いかを真剣に考えてみて
ください。くどいようですが、接着剤の耐久年数が100年も持つと本当に思いますか?
奈良の法隆寺や薬師寺など1300年以上も前に建てられた社寺仏閣がいまだに現存する
のは良質な無垢の木を使っているからです。住宅に限らず「本物に勝る人工物など無い」と
私は考えます。

令和6年5月17日の強風

5/17は秋田県のみならず日本海側の県では強風による被害が多く出ました。横手市では
屋根が飛ばされる被害が1件出ましたが、その被害に遭ったのが弊社事務所の近隣のお
宅でした。築50年を超える住宅で2階の屋根材が全部吹き飛ばされました。幸い屋根
材は近くの電柱の根本部分に引っ掛かり、二次的被害は免れました。
翌日は晴天で私は吹き飛ばされた屋根部分を見て驚きました。なんと野地板がほとんど
無いのです。残された野地板の残骸を見ましたが、それはベニヤ板がペラペラに剥がれ
たモノでした。築50年以上前ですから構造用合板ではなく普通のラワン合板を張って、
屋根を葺いたものと思われます。

大地震が日本各地で頻発する昨今、建物の軽量化を図るために雪の降らない地域でも金
属製の屋根材が使われるようになりましたが、ひと昔前では金属製の屋根と言えば雪国
でしか使わない商品でした。瓦屋根と違い、軽くて値段も安い金属製屋根はどうしても
高級感が出にくく、関西地方では小屋に使う屋根材と揶揄されていました。昔は、「ト
タン屋根」と呼ばれていましたが、現在は「ガルバウム銅板製屋根」に変わり、耐久
性も高くなり、多少はデザイン性も良くなりましたが、金属製の屋根には変わりません。

話が少し脱線しました。さて今回の災害ですが、50年前に棟梁さんが選択ミスをして
いなければ、屋根は吹き飛ばされずに済んだかも知れません。どんな選択ミスをしたか
と言うと、それは野地板にベニヤ板を使用した事です。金属製の屋根の特徴として一番
に考慮すべきは屋根材が直接野地板に触れること
なのです。実際は屋根材と野地板の間
にはアスファルトフェルトが敷いてあるので、直接と言う言い方は違うかも知れません
が、屋根材の熱が野地板に伝わる点においてはアスファルトフェルトの有無は関係なく、
ほぼダイレクトに熱は野地板に伝わります。横手盆地の夏は東京並みに暑く、気温が3
5℃にもなります。この時の屋根材の温度は計った事はありませんが、素手では触れな
いくらいの熱さになります。この熱さは当然野地板にも伝わります。そして冬は氷点下
5℃くらいまで下がります。ひどい時は-15℃まで下がる日もあります。つまり野地
板は住宅部材の中で最も過酷な状況下に晒されているのです。ここにベニヤ板を使った
らどうなるかを考えてみてください。

ベニヤ板は薄い板を何層かで貼り合わせた人工物です。貼り合わせる為に接着剤を使用
していますが、これが先程言った過酷な状況下でどれだけの耐久年数を持つかを考えな
ければなりません。
私の経験値ですが、おそらく20年は持たないと思います。では、
なぜ屋根材は50年も飛ばされずに持ったのか?それは屋根材を留める吊り子に打った
釘がタルキにある程度深く刺さっていたからだと思います。しかし、野地板のベニヤ板
が腐食し、屋根材との間に空間が出来てしまい、そこに風が入り込む事で今回の災害が
起きたと私は推察します。

では野地板には何を選べば良かったのでしょう?
答えはズバリ「無垢の杉バラ板」です。無垢材はベニヤ板と違い、剥離することはあり
ません。リフォーム工事で多くの屋根を葺き直してきましたが、合板を使った野地板は
ほとんど剥離しています。つまり、金属製の屋根材を葺く場合、野地板には無垢材を使
うか、合板を使用した場合には熱が直接伝わらないようシージングボードなどを上に重
ね張りするようにしなければならないのです。

エコキュートをお勧めしない理由③

これまでエコキュートをお勧めしない理由を二つ挙げさせて戴きましたが、今回が最後に
なります。3つ目の理由も寒冷地特有の事情ですが、「真冬に停電が起こると使用出来な
い!」という点です。私たちが住む秋田県の内陸部は真冬になると氷点下5℃以下になる
ことがしばしば有ります。時には氷点下15℃になる日もあるくらい寒い地域です。

そんな寒い冬場で悪天候により停電が起きることがたまに有ります。問題は停電時間や気
温によってエコキュートの室外機のある部分が凍ってしまい、停電が解消されても直ぐに
は使えない事がある
のです。この「ある部分」というのは色々なケースがあるので特定は
出来ませんが、その中でも特に多いとされるのが室外機と貯湯タンクを結ぶお湯の菅です。
この部分ははもちろん保温されてヒーターも巻かれているのですが、停電になるとヒータ
ーも止まってしまうので凍ってしまうんですね。管内が完全に凍ってしまうと停電が解消
しても直ぐには使えないので、水道業者による解氷作業が必要になります。まぁ、これで
直ればOKなのですが、そうならない場合もあるのです。

それは室外機内にある管の中の水が凍ることで膨張し、管を破裂させる危険性がある事です。
こうなってしまうと室外機は交換するしかなくなります。
さて、ここで問題です!
貯湯タンクは建物内部にあるので、まだ使えるとして、室外機はどれくらいの価格で購入
できるでしょうか?

「答え」:仮にエコキュートのセット価格が35万円だとした場合、室外機だけの購入額はザ
ックリですが、30万円くらい掛かります。

「セット価格と比べたら余り変わらないな!」と思った方も多いと思います。私自身もそう
思いました。でもこれには理由があって、「エコキュートとは貯湯タンクと室外機の二つが
揃って一つの商品である。」という事が挙げられます。つまり、「エコキュートを購入する
人は貯湯タンクと室外機を別々に購入する事は無い」という前提があり、室外機だけを購
入する場合は部品扱いとなり、セット価格の適用対象外になるのです。

だったら、いっその事「セットで買って全部新しくしちゃえ!」と考えられる人もいらっし
ゃるかと思いますが、今度は入れ替えに掛かる工事費や既存品の処分費などが多く掛か
ってくるのです。耐用年数にはまだ届いていない場合、これはお客様にとって実に悩ましい
事態です。そして更に厄介なのが、仮に交換したとしても同じ事が起こる可能性が有る
ということ
です。

これを書いていてもう一つ勧めない理由④を思い出しました(笑)。それはエコキュートの
「追い炊き機能」はほとんど使えない!
ということです。ボイラーだと浴槽内のお湯を火で
加熱して送り込むのですぐに暖かくなりますが、エコキュートは貯湯タンク内のお湯から熱を
奪ってお湯を送り出すので全然暖かくなりません。追い炊きをするくらいなら熱いお湯を足
し湯で出した方が早いのです。ハッキリ言ってエコキュートの「追い炊き機能」は飾りの装置
としか言いようがありません。「追い炊き」で節水を期待するお客様にとってはガッカリする
機能である事は知っておいた方がよろしいかと思います。

まぁ、こういった観点から「FORESTの家」ではエコキュートをお勧めしていないのです。
では弊社でお勧めしている給湯器はと言いますと「エコフィール」と呼ばれる省エネ性の高
い石油ボイラーです。「時代に逆行している。」と思われる方もいるかもしれませんが、少な
くとも私がこれまで挙げてきた4つの問題点は起きません。そして仮に交換が必要になっ
た場合でもイニシャルコストが断然安く付きます。省エネ性も高いのでランニングコストも
結構安く、私は『コスパ最強』だと思っております。こういう機器を選ぶ基準を一つだけ挙
げるとすれば私は『シンプル イズ ベスト』だと思うのですが、皆さまはいかがでしょうか?