ハウスラップは製造元が重要です!

「ハウスラップ」と言う言葉をご存知でしょうか?
これは建物が上棟し、外壁の耐力壁が完了した後、外壁下地に張られる防水シート
(一般的にホワイト色)を指します。外壁材が張られると見えなくなるため、施工の早
い現場だとハウスラップは10日ほどで見えなくなります。
このハウスラップは外からの雨の侵入を防ぎ、内部から出た湿気を外に排出する特殊な
機能を持っていて、別名「防水透湿シート」とも呼ばれます。このシートの元祖と言わ
れているのが米国のデュポン社が作った「タイベック」です。タイベックが日本中の現
場で使われ始めると日本の建材メーカーも追随し、同様の機能を持った商品を発売しま
した。価格がタイベックよりも安く、同じ機能を持つと言うと振れ込みで多くの住宅会
社が採用していきました。

ところがです。新築して15年後に外壁の張替え工事で既存の外壁材を剥がして見たと
ころ、とんでもない状況が発覚したのです。日本製の防水透湿シートは全体的に虫が食
べたような穴が点在し、表面はブサブサで劣化が著しかったのです。劣化状況から推察
するとおそらくこのシートは10年も経たないうちに防水性能を失ったと思われます。
もちろん透湿性能も同様に機能を果たしていなかったと思います。

リフォーム工事を数多く手がけるようになって分かってきたのが、「タイベック」と
「日本製防水透湿シート」の違い
です。タイベックは『20年保証』と謳っているよう
に、15年経過した家の外壁材を剥がしても劣化が見当たらないのです。新品の時は触
っても違いがよくわからない商品ですが、製造技術や素材の違いでこれほど耐久性に違
いが出るとは当時は分かりませんでした。

それ以降、FORESTでは「タイベック」を防水透湿シートの標準品としてきましたが、
2023年からは「白いタイベック」の販売が終了し、「タイベックシルバー」と言う
遮熱型防水透湿シートしか選べなくなってしまいました。価格も約2倍に跳ね上がりま
したが、遮熱性能が付加されたことで住宅の性能も上がると思い込んでおりました。

しかし残念なことが判明しました。シート表面に塗膜したシルバーの素材が遮熱効果
を発揮してくれると期待していましたが、それほどの効果は有りませんでした。遮熱シ
ートを耐力壁に直接張れば紫外線などは反射してくれていると思いますが、太陽の熱は
伝導で本体に伝わるのです。断熱材の種類によっては蓄熱するので夏になると夜に蓄熱
された熱が放射され、暑くて快適に眠れないのです。

そこでFORESTでは2024年より防水透湿シートを「タイベックシルバー」から「ウ
ェザーメイトプラス」と言う商品に切り替えました。「ウェザーメイトプラス」も「タ
イベック」と同じデュポン社製の商品で信頼性は抜群です。この「ウェザーメイトプラ
ス」は「タイベック」とは素材そのものが大きく異なりますが、防水透湿シートとして
の機能は「タイベック」以上に優れた商品です。

FORESTではハウスラップに遮熱機能は求めず、あくまで「防水透湿シート」の機能性
と耐久性を求める事としました。かと言って遮熱性を捨てた訳では有りません。遮熱
についてはまた改めて触れたいと思いますが、最後に一言だけ申し上げたいことが有り
ます。それはハウスラップにデュポン社製以外の商品を使ってはいけないと言うことで
す(デュポン社製のハウスラップと同等以上の性能を有する商品が有れば別ですが)。
ハウスラップの商品名までお客様に開示している住宅会社がどれだけ有るのか分か
りませんが、一般的にお客様はあまり関心を持たない部分です。ゆえに安価な商品を使
う会社も少なくないのです。お客様はついつい外壁材にだけ目が行ってしまいがちです
が、その下にある防水層が"安かろう悪かろう"商品ではいざ漏水が起こった際に大問
題へ発展し兼ねません。そうならない為にも「防水透湿シート」には信頼性の高いメー
カーのモノを使うようにしましょう!

家の土台にはシロアリの被害に遭わないものを!

「家づくり」において構造部分はとても重要です。でも一般的に住宅会社が示す耐震等
級や簡易的な説明だけで殆どのお客様はスルーされていきます。「住宅会社の営業マン
が大丈夫です!安心です!と言っているのだから大丈夫だろう。」とお思いかも知れま
せん。また、「構造って難しいし、基準さえクリアしていればOK!」みたいに安易な考
えでおられるお客様も少なくないと思います。

そういうお客様に対して、ここで真剣に言っておきたいことがあります。家づくりにお
いて「完成してからでは見えなくなる部分の造りこそ本当に重要なポイント」なのです。
構造材はもちろん、断熱材や防水材の施工状況などが、その最たるものです。

前回は構造材の中でも柱材についてお話をさせて戴きましたが、今回は土台に絞ってお
話をさせて戴きます。なぜ弊社がここにこだわるのか?それは真面目に『100年住宅』
を目指している
からです。まず日本の家の耐久年数は先進国の中でも最低の32年です。
イギリスで75年、アメリカでも44年くらいの耐久年数があるのです。35年の住宅
ローンが終わらないうちに「建て替え時期です」ってガッカリじゃないですか?

政府は随分前から「100年住宅構想」を発表しておりますが、100年持たせるには
どこに何を使えば良いかまでは示しておりません。つまり、どこに何を使うかは住宅会
社が各々で考え、最終的に100年持つ住宅を作りなさいという曖昧な指針な訳です。
では全ての住宅会社が本当に100年住宅を目指した家づくりを行っているかというと
案外そうではない会社の方が多いと感じます。「100年住宅」を看板にしたある大手
ハウスメーカーの会長さんが「100年も持ったら我々の商売が成り立たない。」と本
音発言をして世間から反発された事もあったように表と裏の考えを持つ会社も多いと思
います。

そこで手っ取り早く「100年住宅」を目指している会社かどうかを見分ける方法とし
てお勧めしているのが、構造材に何の木を使っているのかを調べることです。結論から
言うと「集成材」を構造材に使っている住宅会社は本気で「100年持つ住宅を造ろう」
とは考えていない会社
だと思います。なぜならば、集成材には絶対に欠かせない接着剤
の耐久年数が100年持つとは考えられない
からです。集成材が世の中に出たのは70
年くらい前のようですが、現在のように構造の主要部分全体に使われるようになったの
は25年くらい前からだと思います。と言うことは、まだ100年持ったという実績が
無いのです。この実績と言うのは非常に重要なのです。弊社が推奨する無垢の木は古く
は奈良の法隆寺など1300年も前に建てられ、現存し続けています。法隆寺は家では
ありませんが、日本最古の木造建築物です。これだけの年数を持ち続けられているのは、
本物の木を使っているからであり、建設地とほぼ同じ気候の場所で育った木を使ってい
たことが挙げられると思います。この条件を現代の家づくりに当てはめると「無垢の乾
燥材」を使用し、その木は秋田であれば秋田県あるいは隣県で採れた木であれば、同じ
ように長期に渡り住み続けられると考えられます。

では何の木を使ったら良いのか?ということですが、弊社では土台には「青森ヒバ」、
柱には「秋田スギ」
を採用しております。柱については前回お話しましたので割愛しま
す。土台は木部で最も地面に近い部位ですので、もしシロアリが基礎を登って来たら一
番初めに食べられます。ところがその土台がシロアリにとって害が有って食べられない
樹種だったらどうでしょう。当然シロアリは食べずに引き返す訳です。そうなんです、
正にその樹種こそが「青森ヒバ」なのです。防虫・抗菌・消臭・防腐効果を併せ持つこ
の木は土台に打って付け
なのです。逆に言えばこの「青森ヒバ」より土台に適した樹種
は無い
と考えます。桧も素晴らしいですが、シロアリが嫌う「ヒノキチオール」の含有
量が桧よりも多いのです。

仕事柄リフォームで腐った土台を見ることがよく有りますが、ここに集成材を使ってい
たらもっとひどい状態になったであろうと思います。強度が低く、耐蟻性ゼロの集成材
ならば尚のことです。土台は建物に掛かる荷重や自重を基礎に伝えるとても重要な構造
体です。そこがシロアリの食害や雨水による腐食で本来の機能を果たさなくなれば、家
は崩壊します。ゆえに土台に使われる樹種が何なのかと言う事は重大事項なのです。