金属製屋根を選んで後悔しないコツ

近年、頻繁に発生する大地震。日本はどこに住んでいても、そのリスクがある地震大国です。事実、世界中で起こるマグニチュード6.0以上の地震で見れば、日本だけで20%も占めているのです。地球儀で見ればホントに小さな島国で全世界の20%を占めると言うのは異常なほど多いと言わざるを得ません。昔から大地震は有りましたが、最近はほぼ毎年のように起きているように感じているのは私だけではないと思います。

2024年元日に起きた能登半島地震は最も記憶に新しい災害ですが、住宅の被災状況を見ると阪神淡路大震災の時と類似していると思います。いわゆる「頭でっかち」な造りで1階部分が押し潰され倒壊というパターンです。この場合、屋根材には瓦が使われているケースが殆どで、1階の外壁面には開口部が多く設けられ、耐震壁が少ないというのが特徴的かと考えます。阪神淡路大震災以降、この教訓を活かして「新築」の場合は耐力壁をバランス良く配置し、壁量計算もしっかり取る方向に変わってきましたが、既存住宅全体までには活かされていない事が今回の地震で改めて痛感させられました。

さて、前置きの話と金属製屋根の関係性ですが、これはとても重要な事として捉えて戴きたいと思います。地震で倒壊した家屋の屋根材は瓦と言いましたが、日本瓦の場合で1㎡当たりの重量は60kgになります。仮に間口8.19M×奥行8.19M=67.07㎡の総2階建て(延床面積約40坪)の家の屋根(4寸勾配)を瓦で葺いたとしましょう。屋根には軒の出も有るので、それぞれの出寸法を60cmとすると面積は8.79M×8.79M=77.26㎡になります。これに屋根の勾配係数1.077を掛けます。すると屋根の面積は83.21㎡になります。これに瓦の重量を掛けると83.21㎡×60kgで4,992.6kg、つまりおよそ5tの重量物が屋根の上に常時載っていることになります。例えて言うなら大人の像が一頭屋根の上に居座っているようなものなのです。

これに対してガルバリウム鋼板を始めとする金属製屋根の重量は1㎡当たり僅か6kgで、何と瓦屋根の1/10の重量しかないのです。この圧倒的な軽さは「頭でっかち」で重心がアンバランスな建物を飛躍的に重心バランスが向上された建物へと変え、地震が起きた際の被害を軽減してくれるのです。ガルバリウム鋼板が出てくる以前の金属製屋根はトタン屋根と呼ばれ、関西の方では「小屋の屋根材」と揶揄されてきました。ところが阪神淡路大震災以降は建物の軽量化が叫ばれ、雪の降らない地域でも金属製屋根が多く使われるようになった訳です。

私が住む秋田県横手市は豪雪地帯ですので、昔から屋根材は金属製一択でした。ただトタン屋根の時代と比較するとガルバリウム鋼板製の屋根の方が綺麗でデザイン性も良く、耐久性も高くなってきたと感じています。屋根の勾配や家の外観デザインで葺き方は変わりますが、基本的な部分は変わらないと思います。この基本的な部分というのが実は「後悔しないコツ」に当たりますので、よーく聞いてください。

多くの住宅会社が屋根葺きの際に当たり前のようにやっている間違った施工方法が二つあります。
①野地板(屋根板)に構造用合板を使用している
②下葺き材にアスファルトルーフィングを使用している

素人の方にはどこが間違っているかは分からないと思います。実は住宅会社さんでも理解していない所の方が圧倒的に多いのです。

まずは野地板に構造用合板を使用している件ですが、真夏の気温が30℃以上の場合に屋根材の表面温度は70℃を超えます。冬は秋田の場合、-5℃~-15℃まで下がります。瓦屋根の場合、瓦は屋根の下地材に直接触れる事は有りませんが、金属製屋根の場合は直に、しかもベッタリ触れます。つまり先程記載した温度が下地材に直接伝わるのです。構造用合板は7~9層の薄い板を接着剤で貼り合わせて出来た板です。構造用とは言え、悪く言えば生産方法はベニヤ板と同じです。夏と冬で気温差が80℃以上も違う環境が何十年も続くとやがて接着剤が劣化し、剥離してくるのです。これを防ぐには野地板に無垢の杉バラ板を張るのが一番効果的です。特段杉材に限定はしませんが、無垢のバラ板を使う事をお勧めします。そうすることで剥離の問題は解消され、耐久年数も大幅に伸びます。

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次に下葺きに使うアスファルトルーフィングですが、これを問題にしている住宅会社は①より稀だと思います。ただ構造用合板以上に屋根材の熱がダイレクトに伝わる部位ですので、より過酷な環境下にある訳です。私がここで問題視にしているのは下葺き材の主原料であるアスファルトです。アスファルトルーフィングは昔のアスファルトフェルトに比べれば遥かに耐久性は良くなりましたが、主材は変わっていません。アスファルトの最大の欠点は高熱による『油分の気化』です。つまり高温にさらされるとルーフィングからどんどん油分が抜けていき、やがてルーフィング材は紙状態となって防水性能が失われていくというリスクです。このリスクを避ける為、弊社ではファイバー製4層構造のルーフィング材を使用しております。この材料はアメリカ製で本国では40年保証がされている優れものです。国外である日本ではメーカー保証の対象にはなっていませんが、いずれこのような材料が日本でもスタンダードになってくると思います。

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2022年クリスマス寒波襲来

今年も残りわずかとなりましたね。

皆さまにとって2022年はどんな年でしたか?

私にとっては「宅建士試験合格!」があって、努力が実った年だったと思います。来年もまた新しい事にチャレンジして行きたいと今から準備を始めております。

さて表題のテーマについて触れていきたいと思います。12月22日はなんと四国の高知県で14cm、徳島県でも10cmの積雪があったとニュースで報道されておりました。秋田に住む我々でも驚くくらいですから、現地の方はさぞかし慌てられた事と思います。普段から雪に少しでも馴染みがある地域であれば多少の雪でも対応出来ると思いますが、全く降らない地域で10cmも降れば生活も交通も大混乱になるのは想像が付きます。東京でも14cmの雪が降れば鉄道はストップ、クルマも夏タイヤであれば身動きが取れなくなりますからね。とにかく雪に不慣れな方は充分注意をして戴き、何とか無事故でこの寒波を凌いで貰いたいと願います。

ところで近年の天気予報を見ていると聞きなれない言葉がよく使われます。『JPCZ』!日本語で訳すと「日本海寒気団収束帯」と言うのだそうですが、もっと簡単な言い方をすれば「線状降雪帯」だそうです。夏の大雨が長く続く時に「線状降水帯」と言う言葉が出ますが、それと同じで降るのが雨から雪に変わったもののようです。ただこの「線状降雪帯」は発生する場所が限られています。なぜならばその原因を作っている所が朝鮮半島の長白山脈なので、その山脈の南側に位置する北陸地方がもっとも影響を受けている訳です。以前であれば北陸より東北の方が積雪量は多かったのですが、最近の予想降雪量を見るとほぼ北陸地方が一番多く表記されています。

ここで不思議なのは「なぜ北陸地方の雪が多く降るようになったのか?」です。そもそも朝鮮半島の長白山脈は最近出来た山ではないはずです。大昔からあった山脈なのになぜ近年になって『JPCZ』なる気象現象が起こるようになったのでしょうか?私が『JPCZ』と言う言葉を初めて聞いたのは2年前です。以前から有って私だけが知らなかったのかも知れませんが、たぶん多くの人も聞いた事がない言葉だと思います。『JPCZ』が起こるメカニズムを聞くと「なるほど!」と思うのですが、なぜこの現象がここ最近になって出てくるのかがよく分かりません。夏の「線状降水帯」もそうですが、昔はそんな言葉は聞いた事がありませんでした。となると、やはり異常気象との関連性が疑われると思うのですが、私がそこを掘り下げて調べたところでどうなるものではありません。

私は住宅建築を行う技術屋ですので、住宅に関するアドバイス的なお話をしたいと思います。いま全国のあちらこちらで大規模な停電に見舞われている方々が大勢いらっしゃいます。断熱性能がきちんと確保されている住宅であれば小さなエネルギーでも何とか暮らせるかと思いますが、意外や意外電気が無いとトイレで用も足せない最新の住宅もあるのです。例えばタンクレストイレ。排水に使うタンクが無いため、スッキリしてお洒落な便器なのですが、実は排水の際は電気を使って流しているんです。通常の排水は出来ませんので大量の水が別に必要となります。もちろんウォシュレット機能も使えません。
あとこの時期の停電で困るのがエコキュートです。寒いこの季節にお湯が使えないのは非常に厳しいですね。また停電が収まったとしてもエコキュートの場合、室外機と貯湯タンクの間の管が凍結している可能性が高く、直ぐにお湯を出す事が出来ない場合もあります。オール電化は便利かも知れませんが、停電時になると何も使えなくなるかもしれないと言うリスクが有ります。そういう意味で弊社ではエネルギーの一本化ではなく、分散化をお客様にご提案をさせて戴いております。

自然災害国日本ではいつどこで停電が起こるのか分かりません。私たちは大震災時のように何週間も電気が使えなくなる事も想定しておかなければならないと考えます。これから家を建てようとお考えの方は特に考えを深めて戴きたく思います。最初の選択が後々の後悔に繋がります。何が一番良い選択肢なのか是非いろいろな方々から体験談などを聞いて考えてみてください。

震度6強の衝撃

3月16日23時36分頃に福島県沖を震源とする大きな地震がありました。震源地に近い福島県や宮城県で最大震度6強の揺れが襲い、東北新幹線が脱線する事態も起きました。時間帯が深夜だったので、被災された方は恐くて眠れない夜を過ごされたのではないでしょうか。翌朝になって次々に分かってくる被災情報で、今回の地震がいかに大きな災害だったのかを私たちは知りました。つい先日3.11から11年を迎えたその月に起きた大地震は、やはり東日本大震災を嫌でも思い出させてくれました。幸いにも津波や原発の被害には至りませんでしたが、本当に恐い地震であったと思います。実際に私自身もこの地震の揺れを体験しましたが、秋田県横手市でも震度5弱を記録しました。その時間、私はベッドで眠っておりました。すると突然ケータイの地震警報が鳴り、間もなく揺れ始めました。かなり大きな揺れで、揺れが収まってないのに2回目の地震警報が鳴って長い時間揺れが続きました。ある意味初めて経験する揺れ方だったと思います。事実、福島県で被災された方の中には3.11より揺れたと証言する人が何人もいらっしゃいました。

今回の地震で火力発電所が2基止まり、関東と東北で電力供給不足が一時的に発生しました。3月も下旬に入り、たまたま寒波と重なったせいもありますが、これが真冬に起きていたらと想像するとゾっとします。しかしTVを見て思うのですが、地震の揺れで屋根の瓦が落ちてしまってブルーシートで養生をしている家が数多く有りました。3.11から11年の間に同じクラスの地震は何度か起きています。剥がれたら都度瓦を補修しているのでしょうが、こんな短い期間で何度も同じ被害を受けているのであれば、思い切って屋根をガルバリウム鋼板葺きに変えた方が良いのではと個人的には思います。新築住宅や耐震リフォームした建物の耐震強度は上がっているのは確かですが、免震構造でない限り、建物は必ず揺れます。地震が頻繫に起きる地域にお住いの方はぜひ建物の軽量化を考えて行かれる事をお薦めします。瓦葺きの屋根というのは重厚感があり、それが高級感を醸し出しているのでしょうが、大きな地震が来る度に補修工事をやるくらいなら、いっそ変えてしまった方が良いと私は考えます。瓦葺きに比べてガルバリウム鋼板葺きは高級感こそ有りませんが、少なくとも地震で剥がれてブルーシートで養生をする事態までには至りません。災害は大きいほど被災する家屋の件数も多くなります。従って補修する時期も職人さん不足と重なり早い家と遅い家が出てきます。

ウクライナでの戦争報道であまり注目度が大きくありませんが、今回の地震は軽く見ない方がよいと思います。なぜ昔に比べて東北地方で地震が頻繁に起こるようになったのかは分かりませんが、今の日本ではいつどこでいかなる災害が起こっても不思議ではないのが現状です。私が住む秋田でも日本海中部地震のような大地震が再び起きるかも知れませんし、100年に1度と言われる水害が起きるかも知れません。そんな災害が起きた時に家族を守ってくれるモノと言えば、やはり「住宅」しかないのです。そこで考えなくてはならないのが家の構造と不測の事態に備えた設備の設置です。構造はなるべく耐震等級の高い家で、制震装置なども付いていると建物の被害は軽減されます。そして不測の事態に備えた設備ですが、例えば一番被害が大きな災害と言えば、やはり地震です。今回も停電が起きましたが、そんな時でもちゃんと家で暮らせる仕掛けを考えておく事が必要です。例えば非常用コンセント。それを結ぶ発電機を置く場所なども考えておけば短期間の停電時に備える事も出来ます。これに掛かる費用はオプションですが数万円で済みますので、ぜひ導入を検討して貰いたいと思います。まぁ、これをしたから万全という訳ではありませんが、何もしてない家に比べたら「備えあれば患いなし」の気持ちで入られると思います。

3.11から11年とオール電化住宅

東日本大震災から11年が経つ現在でも家に帰れない方や未だ行方不明の方、並びにご家族を亡くされた方々には心よりお見舞い申し上げます。11年という長い年月が経過しても地震は頻発して起きるし、なかなか安心して生活が出来ない方も多い事かと思いますが、一日も早く元の暮らしに戻れる日が来る事を祈っております。

大震災から6年後、私は生まれ故郷に自宅を建てました。まだ震災時の記憶が残っておりましたので、耐震性に関しては結構考えて施工をしました。大きな地震の直後は耐震面に人の目は行きがちですが、ある程度収まってくると意識が薄らいできます。あの時の強烈な恐怖をも薄れさせる『時の流れ』とはある意味で怖さを感じます。3.11の時は太平洋側に比べたら比較になりませんが、秋田県でも大きな被害は出ました。私の記憶で鮮明に覚えているのはインフラがストップし、その復旧に大きな差があった事です。特に電気の復旧が一番遅く、電気が来ないと殆ど何も出来ない事がハッキリと分かりました。それが教訓となって雪国横手であっても太陽光パネルを設置したり、オール電化にはせずに使用エネルギーを分散させて自宅を建設しました。

私の家には普段両親が在宅しており、近所のおばあちゃん達がよく遊びにやって来ます。寒い季節だと「ここの家ほどあったかい家はねーな(無いな)。」と皆さんが褒めてくれます。我が家より立派な家に住んでいるおばあちゃんも同じ事を言うので、私の母が「お宅はオール電化だから寒くなんかねーべ(ないでしょ)。」と返すと「なんとなんと家中全部暖房なんか付けたら月に電気代が10万円超えるから、普段いる所しか付けてないんだよ。ここみたいにどこ行ってもあったかくなんかなんねーよ(ならないよ)。」との事。局所暖房やって電気代が約8~9万円くらい掛かっているらしいのですが、それだと建替え以前の暮らしとあまり変わらないような気がしてなりません。

別の家のおばあちゃんは先日やって来て「病人がいるから家の暖房を付けっぱなしでいたら電気代が10万円を超えた。」と言い、「これからまた電気代が上がったら生活出来なくなる。」と嘆いていたそうです。この二人のおばあちゃんの家で共通するものは「オール電化の家」だという事です。私はオール電化の家で生活をした事がありませんので、どれくらい快適なのかは分かりません。ただ、お二人の話を聞く限りでは寒い横手ではお薦め出来るモノでは無いような気がします。オール電化の家を推進している住宅会社は今も多く存在していますが、私はこれまで「オール電化の家は快適で省エネ性も最高!」と言っているお施主様に出会った事が一度もありません。どちらかと言えば、「とにかく電気代が高い!」「電気代が高いから暖房のスイッチを一部切って暮らしている。」とかネガティブな話しか聞こえて来ないのです。にも係わらず「オール電化住宅」を選んで建てているお客様が後を絶たないのはナゼ?なのか不思議でたまりません。

そもそも今の日本の電気はどうやって作られているのかをご存じでしょうか?3.11以降原発の稼働が減り、日本の電力の8割は火力発電所に頼っています。この火力発電所で何を燃やして電気を作っているかと言うとそれは「天然ガス・石炭・石油」です。どれも化石燃料を燃やして作っているのです。電気はクリーンなエネルギーと思っている方が多いと思いますが、全くクリーンではないのが現実です。もし「オール電化の家」はクリーンな家だと思っておられるのであれば、ちょっと違うと思います。今のところクリーンなエネルギーと呼べるのは再生可能エネルギーと地熱・水力発電くらいですが、日本でのこれらのシェアは本当に少ないですね。ドイツのように国策として取り組む覚悟でやらない限り、いつまで経っても脱化石燃料・脱原発は絵に書いた餅でしかならないと私は見ています。でも、再生可能エネルギーを使って家の電気を賄っているのであれば、それは「クリーンな家」と言えると思います。

さて「オール電化の家」の電気料が高額な事は以前から知っていました。「いつもよりちょっと暖房を多く使うとあっという間に8万円を超える。」という話は4年前に知り合いの大工さんからも聞きました。更に昨年3月で終了した「深夜機器割引」の終了も要因一つになっていると思います。この割引終了が電気代を8万円から10万円に引き上げているのだと思いますが、この金額の高さは弊社の住宅と比較すると異常な高さです。確かにどんなに断熱性能の高い住宅であっても冬場の光熱費は高くなりますが、せっかく設けた設備機器を電気代が高く付くからという理由で使わずに我慢しているなどというのは本末転倒だと思いませんか?

私が思うに多くのお客様は光熱費がどれくらい掛かるのかを知らされないで建てているのではないでしょうか?特に1年の半分を暖房に頼る雪国横手の冬の暖房費を知らされていないのではないかと思わざるを得ないのです。でなければ購入後に前述したおばあちゃんたちのような話は出てくるはずが無いと思うのです。弊社の住宅の暖房は床暖房で熱源は灯油ボイラーです。床暖房はヒートポンプを使った電化型も可能ですが、この方式は寒冷地以外の地域であれば可能です。秋田でも横手のような極寒の地域では残念ながら電化型はパワー不足で役に立ちません。まぁ他に選択肢がなく灯油ボイラーを標準仕様としていますが、抜群の暖かさを誇ります。外気温がどんなに寒くても家中どこでも暖かいのです。蓄熱式なので余熱を利用する事で省エネ性にも優れていますので、全館暖房にしていてもオール電化の家より光熱費は数万円安くなります。

このようにランニングコストを抑えて真冬でも暖かく快適に暮らせる蓄熱式床暖房ですが、実はイニシャルコストも他の暖房機器と比較すると安く抑えられます。一言で『床暖房』と聞くとイニシャルコストもランニングコストもメッチャ高額なモノと思われがちですが、そんな事はありません。弊社ではこれまでに10棟以上のお宅で床暖房を施工させて戴いており、高評価を戴いております。これから家を建てられる方にはぜひ暖房をどの工法で行うかを真剣に考えて貰いたいと思います。横手は北海道に次ぐ日本で2番目に寒い地域です。全館冷暖房も魅力的だと思いますが、私はやはり暖房最優先で家を建てられる事をお薦めします

日本の住宅建築に欠かせない技術②

前回の続きです。

住宅を建てる際には「安全性の目標」を考えなくてはならない事までお話をさせて戴きました。その目標を達成する手段として現在は様々な耐震技術が世の中に出てきておりますが、その代表的な構造を3種類ご紹介したいと思います。

一つ目は耐震構造です。
「耐震」とは、筋交いや面材、構造用金物によって強度を高めて、地震の力に耐える工法です。一般的に多くの住宅会社や工務店が採用している工法です。建築基準法では「関東大震災クラス」の地震に耐えられる強さを耐震等級1と定めており、耐震等級2や3で建てる事でより大きな地震に耐えられる住宅になります。注意点としては建物をガッチリと固定して強度を高めていますが、大きな地震を繰り返し何度も受ける事で固定部分に緩みが発生するケースがあり、それにより建物が傷んでしまう場合があります。

二つ目は制震構造です。
「制震」とは、エネルギー吸収体を住宅の耐力壁内に設置する事で建物の揺れを抑える工法です。ビルや橋にも採用されている揺れ防止技術で、住宅の場合は一般的にダンパー式の装置が1棟に6~8ヵ所程度設置されます。2階建ての住宅の場合は1階の壁面にしか設置しませんので2階の揺れ防止には有効的ですが、1階の揺れ防止にはあまり効果は期待出来ません。しかし、地震によるエネルギーを吸収することで建物へのダメージは抑えられますので、耐久性の観点から見れば採用する価値は充分あると言えます。

三つ目は免震構造です。
「免震」とは、ベアリングや積層ゴムを建物の下に設置し、免震層を介在させることによって地面の揺れから免れる工法です。つまり、「住宅は宙に浮いた状態で地面だけが動く」という地震対策としては理想的な工法です。が、意外な欠点もあるので採用をご検討されている方はご注意ください。その意外な欠点とは「ちょっとした強風が吹くと建物が揺れる」ということです。宙に浮いた状態なので、建物が地盤に固定されていない為に他の構造では有り得ない現象が起きるのです。また、価格の面においても免震構造は破格の金額になりますし、これを採用している住宅会社は大手ハウスメーカーでもわずかしかおりません。

以上が代表的な耐震構造の簡単な説明になります。

弊社の注文住宅≪樹の香≫シリーズでは「耐震×制震」の組み合わせを標準仕様としてご提供させて戴いております。弊社では、この組み合わせが最もコスパの高い耐震工法と考えております。ご興味のある方はぜひ弊社までお問い合わせくださいませ。

日本の住宅建築に欠かせない技術①

日本で住宅を建てる際に必ず考えないといけないこと
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それは『地震対策』です。

これは気候に関係なく、日本全土に言えることです。

「30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率予測地図」.jpg

上の地図は政府の地震調査委員会が公表した資料を基に「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率」を示した予測地図です。

これを見ると北海道の根室・釧路地域と関東圏から四国までの太平洋側がほぼ100%に近い確率で震度6弱以上の地震が起こるように見受けられます。しかし、これは震度6弱以上の地震に視点を当てて作成されたもので、それに満たない震度5強以下は考慮されていません。実際に震度5強や5弱での地震でもかなりの被害が出る事は充分想定されます。ですから安易にこの予測地図だけを見て自分の住む地域は大丈夫などと思ってはいけません。
事実、熊本地震や中越地震などように予測地図では確率が比較的低い地域でも大地震で被害を受けている例があります。つまり、日本に住む限りはどこであろうが『地震対策』に万全を期すのは当然と考えるべきでしょう。

そこで実際に大地震が起こる事を想定して、これから新築工事を行う場合に建物はどうあるべきでしょうか?

『安全性の目標』として以下の考え方があると思います。

①「人命を守る」
 建物の崩壊・倒壊を防ぐ。家具などの転倒を防ぎ、火災の発生も防ぐ措置を取る。
②「財産・資産を守る」
 地震による損壊から個人・企業などが自ら保有する財産や資産を守る措置を取る。
③「生活機能を守る」
 地震によるライフライン機能の停止が起きても、必要最低限な生活が出来る設計にする。

上記の『安全性の目標』を達成するために現在では様々な耐震技術がありますが、今回はここで終了です。
次回はその代表的な工法をご紹介したいと思いますのでお楽しみに!

『火災保険料』が約半額になる工法

『省令準耐火構造』をご存知でしょうか?

住宅を新築される場合、多くの人は金融機関から融資を受けて家を建てられます。その際に金融機関から必ず「火災保険」に入る事が義務付けられます。もちろん、キャッシュで建てられた人も義務では無いにしろ大抵の方は「火災保険」に入られます。「火災保険」は補償内容によって多少の違いは有りますが、火災以外の災害にも保険が適用になる本当に有難い保険です。雪国の場合は雪害による被害(雨樋の破損、落雪による外壁の破損など)にも対応してくれます。雪害以外にもいろいろな補償がオプションで選べますので、建物の立地条件を良く見て何をオプションで加えるかを考える事が重要です。

但し、この一般的な「火災保険」が適用にならないケースがある事も知っておく必要が有ります。それは「地震によって起きた火災」です。地震による火災および倒壊などは、「地震免責条項」により火災保険では補償されませんので、注意が必要です。なぜ火災保険では地震による火災が補償されないかというと、地震災害の発生確率と損害額の予測が難しいことや、巨大地震が発生した際にその被害が莫大なものになる可能性があることなどからです。ですから「地震によっておこる火災や他の災害」に対応するには「火災保険」以外に「地震保険」へ加入する必要があるのです。『備えあって憂いなし』、これからは「火災保険」と「地震保険」のセットで考えられる事をお薦め致します。ちなみに日本という小さな国で起こる地震の発生率は全世界の2割強を占めているのです。国土が全世界の0.28%しか無いのに2割強という事は真に日本は『地震大国』と言えるでしょう。ですから、いつどこで地震が起きても日本では何の不思議でも無い事を知っておくべきであり、ゆえに「地震保険」は必ず入っておく必要があると思うのです。

省令準耐火構造の火災保険料.jpg

前置きが長くなりましたが、表題の件について述べたいと思います。これまで家を新築された方で火災保険料が思いのほか高くて見積もり金額を見てギョッとした人は少なくないと推察します。そこで見て戴きたいのが上記の見積書です。合計金額が上下2段で記載されていますが、上段が一般的な住宅や柱や梁材を見せる純和風住宅の火災保険料で、下段が「省令準耐火構造」で建てられた住宅の火災保険料です。この見積書は31坪で全く同じ間取り・デザインで作られた家を基に算出したものですが、金額に大きな差があります。いかに「省令準耐火構造」で建てられた住宅の方が金額的に有利かが分かるかと思います。昔は「省令準耐火構造」の家と言えばツーバイフォー住宅がその代表格でした。しかし現在は在来工法でも施工方法によって「省令準耐火構造」に認定される事が可能なのです。もちろん、それに適合させる為のコストは掛かりますが、保険料から見れば大した額ではありません。

弊社の注文住宅≪樹の香≫や≪チャオ!≫では、この「省令準耐火構造」が最初から標準仕様となっておりますので工事費で差額を戴く事は有りません。純和風で立派な柱や梁材を見せたいというお客様には残念ながら適用出来ませんが、和風調で妥協して戴けるのであれば対応出来ます。もっと詳しくお知りになりたい方はぜひ弊社へお問い合わせください。


爆弾低気圧襲来!

台風並みの脅威
2021年2月16日深夜、強烈な暴風雨の音と振動で目が覚めた。天気予報通り急速に気圧を下げた低気圧が台風の如く北日本全域を飲み込み、強烈な風でかき回している。昨日の9時時点で990hpa(ヘクトパスカル)だった低気圧が24時間後に何と944hpaまで気圧を下げて北上して来たのだ。この気圧はもはや台風並みであり、別名「爆弾低気圧」と呼ばれている。台風は夏場にしか現れないが、爆弾低気圧は気象条件さえ合えば季節を問わず現れる。台風は誰しもその脅威を知っており、天気予報でも頻繁に通るコースやどのような特長を持った台風かを随時知らせてくれる。よって人はその対策を講じるものだが、爆弾低気圧は天気図上では普通の低気圧と同じ表記しかされないので、天気に詳しい人でないとその恐ろしさが予想出来ない。ゆえに対策が出来ていないまま襲来を招き、大きな被害を受けてしまう。

実は毎年のように「爆弾低気圧」は発生している。ただ台風と同じように規模に違いがあるので、大きな被害を受けない時もある。今回の「爆弾低気圧」は数年に1回来る極めて危険な「爆弾低気圧」であり、きちんとした強風対策を取っていないと大きな損害を被る可能性が高かった。8年くらい前に来た「爆弾低気圧」も強烈であった。養鶏場などの屋根を吹っ飛ばし、ガレージや農作業小屋などのシャッターを数えきれないほど破壊し、コンクリート製の電柱を何本もへし折って去って行った。今回の「爆弾低気圧」もほぼそれに近い規模の破壊力と感じた。

「家づくり」を行っている現場監督が一番恐れるのが、こういった台風や爆弾低気圧である。特に足場を架けている現場は気が気でない。下手をすれば足場の倒壊や外に置いた資材などが隣家に飛ぶ恐れがあるからだ。書く言う私もこの夜は一睡も出来ず、真夜中に2回も現場に走った。幸い私が担当している現場は街中の住宅地に有り、四方を2階建ての住宅で囲われていて余り風の影響を受けていなかった。周りの住宅が風除けになってくれたおかげで被害は出なかったが、周りに何も建っていない一軒家の我が家に戻ると激しい風が西面と北面の外壁にまともに当たり2階だけは壁が揺れ続けている。時間が進むに連れ、風がより激しさを増す。再び危険を感じ、また現場の状況を見に走った。しかし、現場は先程とあまり変わってはおらず、被害が出るようには感じられない。住宅地の中とポツンと一軒家ではこうも違うものかと思った次第である。

「異常気象」と言う言葉が出始めてから大夫時間が経つが、ここ数年で本当に気候が変わったと感じる。毎年日本のどこかで「100年に1回の」「50年に1回の」と呼ばれる甚大な自然災害が頻繁に起きている。これは日本に限らず世界中でも同様のようであるが、本当に環境問題について人類は真剣に考えなければならないと思う。自国第一主義の大統領が去って、ようやく世界中の国々が環境問題について語られるようになった。大きなテーマについては国レベルで対応して戴くとして、個人や家庭的なレベルでいま何か出来る事は無いかを考えてみよう。どんな小さな事であっても、何十億人の人達が同じ行動をすれば世界は少しづつでも良くなってくるはずだ。また私自身も「家づくり」を行う者として、どんな住宅がこれからの世の中で求められるのかを日々追い求めて行きたいと思う。