震えた日②

【2021年2月2日の火災事故】で思った事
火災が遭った昨夜はなぜか眠れなかった。家族全員が同じ事を言っていた。気分もすぐれない。煙を吸ったせいか喉の調子も悪い。朝起きて朝刊に目を通す。昨日の火災事故の記事が載っていた。出火元の家は全焼で道路を挟んだ南隣の家が少し延焼の被害を受けたと書かれていた。事務所へ出勤すると記事に載っていた南隣の家のご主人が家の前の除雪をしていた。「昨日は災難でしたね。」と声を掛けた。「そうなんですよ。延焼は貰い損でしかなくて、これから大変なんです。」と言い、道路面の外壁を見ていた。道路に面した全ての樹脂サッシのフレームが焼けただれ、ペアガラスの外側の面が割れていた。2階部分の外壁が火災の熱で変色している。エコキュートの室外機から出ている配管カバーも熱で溶け、中の配線が見えていた。火災のせいで東北電力の電線が焼けて、その家は停電してしまい昨夜は親戚宅にお世話になったという。本当に気の毒な話である。その家は新築で建てて、まだ7、8年しか経っていないのだ。それがこのような事に遭ってしまったのだから、ご家族の心中いかばかりかとお見舞い申し上げる次第である。

延焼による被害.JPG

添付した写真は延焼に遭ったその家の樹脂サッシである。これは「樹脂サッシがどうのこうの」と言う為に載せた訳ではない。一部延焼の被害を受けたその家は6M道路を挟んだはす向かいに位置している。お互いの外壁の距離は7M以上は離れているのだ。それでもこれだけの被害を受けている。もしも出火元の隣地に家が有ったと仮定しよう。街中の住宅地ではお互いの家の外壁までの距離が3M以内という所がザラに存在する。そんな距離であのような火災が起きたら延焼は免れないと考えるのが普通だと思う。例え火災に強い外壁材を張っていたとしても無理である。なぜならば外壁面には必ず窓がある。あるいは下屋もあるかもしれない。そういう部分は外壁材と同等の耐火性能を持ち合わせていないのが一般的だからだ。

では何もしないで今のままで良いのか?それは「NO!」である。確かに延焼は免れないかもしれないが、耐火性の高い家であれば逃げる時間を稼ぐ事が出来る。人命よりも大切なものはないが、「これだけは焼失させたくない。」と思うモノを持ち出せる時間も稼げるかもしれない。そういう意味でこれから『家づくり』をご検討されている方々に申し上げたい。大地震が起これば地震に強い住宅が注目されるように、火災に備えた構造がある事を知って戴きたい。上を見るとキリがないが、最もコスパに優れた構造として【省令準耐火構造】というものがある。その代表格がツーバイフォー住宅であるが、今は在来工法でも対応が可能なのだ。この構造で作られた家は火災保険料も一般住宅の約半額で済むというメリットがある。弊社ではこの【省令準耐火構造】を標準仕様としているので、詳しい事をお知りになりたい方はお問い合わせを戴きたい。

最後にもう一言。火災保険はただ加入していれば良い訳ではない事を今回の火災で私は大いに思い知らされた。他人の家の火災で自分の家が焼けても、出火元の保険で直して貰う事は基本的に無い。本当に理不尽な話ではあるが、延焼を受けた家の人は自分が加入している火災保険で直すしかないのだ。冒頭に南隣の家のご主人が言っていた「貰い損」とは真にこの事を意味する。保険の種類によっては延焼に対応したものもあるらしいが、まず殆どの家は自宅のみの火災保険だと考え、自宅の火災保険がしっかりした内容であるかを確認して戴きたい。

昔の言葉に「地震・雷・火事・親父」と世の中で怖いモノの順番を表した格言がある。現代においては「地震・火事・水害・台風・モンスター●●」だろうか。●●はご想像にお任せする。いずれの災害においても「それは突然襲ってくる。」と言うのが共通している。どの災害が起きた時に自宅はどうなるのかを想像して、「不測の事態」に備えたいものである。