子供部屋は4畳半!?

以前、勤務していた会社でユニークな教育方針を持ったお父さんがいらっしゃいました。プランニングの為のヒアリングをしていたところ「子供部屋はすべて北向きの4畳半で主寝室は日当たりの良い南側でお願いします。」と言われたのです。私は不思議に思い、質問をしました。「大概の親御さんは自分達の寝室を日の当たらない方に持ってきて、子供部屋は日当たりの良い南側を望まれるのですが、どうして北側でしかも4畳半という狭さで限定されるのですか?」と。すると「この家は私たち夫婦が一生懸命に稼いだお金で建てる家です。私たち夫婦が一番良い場所に部屋を構えるのは当然の権利です。条件の良い位置に広い部屋を子供に与えると『引きこもり』になる可能性もあるし、それ以上に私は子供たちに『こんな狭い部屋から出て行きたい。家から出て行きたい。』と思うようになって欲しいと思っているのです。」と言われたのです。もう、かれこれ15年以上も前の話ですが、この時の会話は強烈なインパクトとして私の記憶から無くなることがありません。

敢えて子供に快適ではない部屋を与え、「こんな所から早く抜け出したいのなら自分の力で自分の家を持てるような大人になりなさい。」と独立心をあおるという独特な教育方針に私は多いに共感されました。そしてこのお客様との出会いで間取りの考え方も広がったと感謝しています。この教育方針に共感が持てるかどうかは人それぞれです。この件に関してそれを議論するつもりはありません。

ただ、これから家を建てようと考えられている子育て世代の方には是非ご自分の教育方針を見つめ直してみてプランニングをされる事をお薦めします。子供が小さい時はどうしても子供中心の生活になります。しかし、子供が全員巣立って、家に残ったのは夫婦二人という事も考えられます。大きな家に夫婦二人で持て余してしまう例はたくさん有ります。戻って来ない子供のために日当たりの良い部屋を使わずに残しておく家庭も有りますが、考えようによっては勿体ないとも言えると思います。住宅ローンの返済期間が35年から40年へと長くなってきていますが、その返済が終わる頃にあなたは何歳ですか?その時の家族構成は誰にも分からないと思いますが、ある程度は想定しながら家を建てた方があとあとの後悔は少ないのではないでしょうか。