爆弾低気圧襲来!

台風並みの脅威
2021年2月16日深夜、強烈な暴風雨の音と振動で目が覚めた。天気予報通り急速に気圧を下げた低気圧が台風の如く北日本全域を飲み込み、強烈な風でかき回している。昨日の9時時点で990hpa(ヘクトパスカル)だった低気圧が24時間後に何と944hpaまで気圧を下げて北上して来たのだ。この気圧はもはや台風並みであり、別名「爆弾低気圧」と呼ばれている。台風は夏場にしか現れないが、爆弾低気圧は気象条件さえ合えば季節を問わず現れる。台風は誰しもその脅威を知っており、天気予報でも頻繁に通るコースやどのような特長を持った台風かを随時知らせてくれる。よって人はその対策を講じるものだが、爆弾低気圧は天気図上では普通の低気圧と同じ表記しかされないので、天気に詳しい人でないとその恐ろしさが予想出来ない。ゆえに対策が出来ていないまま襲来を招き、大きな被害を受けてしまう。

実は毎年のように「爆弾低気圧」は発生している。ただ台風と同じように規模に違いがあるので、大きな被害を受けない時もある。今回の「爆弾低気圧」は数年に1回来る極めて危険な「爆弾低気圧」であり、きちんとした強風対策を取っていないと大きな損害を被る可能性が高かった。8年くらい前に来た「爆弾低気圧」も強烈であった。養鶏場などの屋根を吹っ飛ばし、ガレージや農作業小屋などのシャッターを数えきれないほど破壊し、コンクリート製の電柱を何本もへし折って去って行った。今回の「爆弾低気圧」もほぼそれに近い規模の破壊力と感じた。

「家づくり」を行っている現場監督が一番恐れるのが、こういった台風や爆弾低気圧である。特に足場を架けている現場は気が気でない。下手をすれば足場の倒壊や外に置いた資材などが隣家に飛ぶ恐れがあるからだ。書く言う私もこの夜は一睡も出来ず、真夜中に2回も現場に走った。幸い私が担当している現場は街中の住宅地に有り、四方を2階建ての住宅で囲われていて余り風の影響を受けていなかった。周りの住宅が風除けになってくれたおかげで被害は出なかったが、周りに何も建っていない一軒家の我が家に戻ると激しい風が西面と北面の外壁にまともに当たり2階だけは壁が揺れ続けている。時間が進むに連れ、風がより激しさを増す。再び危険を感じ、また現場の状況を見に走った。しかし、現場は先程とあまり変わってはおらず、被害が出るようには感じられない。住宅地の中とポツンと一軒家ではこうも違うものかと思った次第である。

「異常気象」と言う言葉が出始めてから大夫時間が経つが、ここ数年で本当に気候が変わったと感じる。毎年日本のどこかで「100年に1回の」「50年に1回の」と呼ばれる甚大な自然災害が頻繁に起きている。これは日本に限らず世界中でも同様のようであるが、本当に環境問題について人類は真剣に考えなければならないと思う。自国第一主義の大統領が去って、ようやく世界中の国々が環境問題について語られるようになった。大きなテーマについては国レベルで対応して戴くとして、個人や家庭的なレベルでいま何か出来る事は無いかを考えてみよう。どんな小さな事であっても、何十億人の人達が同じ行動をすれば世界は少しづつでも良くなってくるはずだ。また私自身も「家づくり」を行う者として、どんな住宅がこれからの世の中で求められるのかを日々追い求めて行きたいと思う。


震えた日②

【2021年2月2日の火災事故】で思った事
火災が遭った昨夜はなぜか眠れなかった。家族全員が同じ事を言っていた。気分もすぐれない。煙を吸ったせいか喉の調子も悪い。朝起きて朝刊に目を通す。昨日の火災事故の記事が載っていた。出火元の家は全焼で道路を挟んだ南隣の家が少し延焼の被害を受けたと書かれていた。事務所へ出勤すると記事に載っていた南隣の家のご主人が家の前の除雪をしていた。「昨日は災難でしたね。」と声を掛けた。「そうなんですよ。延焼は貰い損でしかなくて、これから大変なんです。」と言い、道路面の外壁を見ていた。道路に面した全ての樹脂サッシのフレームが焼けただれ、ペアガラスの外側の面が割れていた。2階部分の外壁が火災の熱で変色している。エコキュートの室外機から出ている配管カバーも熱で溶け、中の配線が見えていた。火災のせいで東北電力の電線が焼けて、その家は停電してしまい昨夜は親戚宅にお世話になったという。本当に気の毒な話である。その家は新築で建てて、まだ7、8年しか経っていないのだ。それがこのような事に遭ってしまったのだから、ご家族の心中いかばかりかとお見舞い申し上げる次第である。

延焼による被害.JPG

添付した写真は延焼に遭ったその家の樹脂サッシである。これは「樹脂サッシがどうのこうの」と言う為に載せた訳ではない。一部延焼の被害を受けたその家は6M道路を挟んだはす向かいに位置している。お互いの外壁の距離は7M以上は離れているのだ。それでもこれだけの被害を受けている。もしも出火元の隣地に家が有ったと仮定しよう。街中の住宅地ではお互いの家の外壁までの距離が3M以内という所がザラに存在する。そんな距離であのような火災が起きたら延焼は免れないと考えるのが普通だと思う。例え火災に強い外壁材を張っていたとしても無理である。なぜならば外壁面には必ず窓がある。あるいは下屋もあるかもしれない。そういう部分は外壁材と同等の耐火性能を持ち合わせていないのが一般的だからだ。

では何もしないで今のままで良いのか?それは「NO!」である。確かに延焼は免れないかもしれないが、耐火性の高い家であれば逃げる時間を稼ぐ事が出来る。人命よりも大切なものはないが、「これだけは焼失させたくない。」と思うモノを持ち出せる時間も稼げるかもしれない。そういう意味でこれから『家づくり』をご検討されている方々に申し上げたい。大地震が起これば地震に強い住宅が注目されるように、火災に備えた構造がある事を知って戴きたい。上を見るとキリがないが、最もコスパに優れた構造として【省令準耐火構造】というものがある。その代表格がツーバイフォー住宅であるが、今は在来工法でも対応が可能なのだ。この構造で作られた家は火災保険料も一般住宅の約半額で済むというメリットがある。弊社ではこの【省令準耐火構造】を標準仕様としているので、詳しい事をお知りになりたい方はお問い合わせを戴きたい。

最後にもう一言。火災保険はただ加入していれば良い訳ではない事を今回の火災で私は大いに思い知らされた。他人の家の火災で自分の家が焼けても、出火元の保険で直して貰う事は基本的に無い。本当に理不尽な話ではあるが、延焼を受けた家の人は自分が加入している火災保険で直すしかないのだ。冒頭に南隣の家のご主人が言っていた「貰い損」とは真にこの事を意味する。保険の種類によっては延焼に対応したものもあるらしいが、まず殆どの家は自宅のみの火災保険だと考え、自宅の火災保険がしっかりした内容であるかを確認して戴きたい。

昔の言葉に「地震・雷・火事・親父」と世の中で怖いモノの順番を表した格言がある。現代においては「地震・火事・水害・台風・モンスター●●」だろうか。●●はご想像にお任せする。いずれの災害においても「それは突然襲ってくる。」と言うのが共通している。どの災害が起きた時に自宅はどうなるのかを想像して、「不測の事態」に備えたいものである。