『火災保険料』が約半額になる工法

『省令準耐火構造』をご存知でしょうか?

住宅を新築される場合、多くの人は金融機関から融資を受けて家を建てられます。その際に金融機関から必ず「火災保険」に入る事が義務付けられます。もちろん、キャッシュで建てられた人も義務では無いにしろ大抵の方は「火災保険」に入られます。「火災保険」は補償内容によって多少の違いは有りますが、火災以外の災害にも保険が適用になる本当に有難い保険です。雪国の場合は雪害による被害(雨樋の破損、落雪による外壁の破損など)にも対応してくれます。雪害以外にもいろいろな補償がオプションで選べますので、建物の立地条件を良く見て何をオプションで加えるかを考える事が重要です。

但し、この一般的な「火災保険」が適用にならないケースがある事も知っておく必要が有ります。それは「地震によって起きた火災」です。地震による火災および倒壊などは、「地震免責条項」により火災保険では補償されませんので、注意が必要です。なぜ火災保険では地震による火災が補償されないかというと、地震災害の発生確率と損害額の予測が難しいことや、巨大地震が発生した際にその被害が莫大なものになる可能性があることなどからです。ですから「地震によっておこる火災や他の災害」に対応するには「火災保険」以外に「地震保険」へ加入する必要があるのです。『備えあって憂いなし』、これからは「火災保険」と「地震保険」のセットで考えられる事をお薦め致します。ちなみに日本という小さな国で起こる地震の発生率は全世界の2割強を占めているのです。国土が全世界の0.28%しか無いのに2割強という事は真に日本は『地震大国』と言えるでしょう。ですから、いつどこで地震が起きても日本では何の不思議でも無い事を知っておくべきであり、ゆえに「地震保険」は必ず入っておく必要があると思うのです。

省令準耐火構造の火災保険料.jpg

前置きが長くなりましたが、表題の件について述べたいと思います。これまで家を新築された方で火災保険料が思いのほか高くて見積もり金額を見てギョッとした人は少なくないと推察します。そこで見て戴きたいのが上記の見積書です。合計金額が上下2段で記載されていますが、上段が一般的な住宅や柱や梁材を見せる純和風住宅の火災保険料で、下段が「省令準耐火構造」で建てられた住宅の火災保険料です。この見積書は31坪で全く同じ間取り・デザインで作られた家を基に算出したものですが、金額に大きな差があります。いかに「省令準耐火構造」で建てられた住宅の方が金額的に有利かが分かるかと思います。昔は「省令準耐火構造」の家と言えばツーバイフォー住宅がその代表格でした。しかし現在は在来工法でも施工方法によって「省令準耐火構造」に認定される事が可能なのです。もちろん、それに適合させる為のコストは掛かりますが、保険料から見れば大した額ではありません。

弊社の注文住宅≪樹の香≫や≪チャオ!≫では、この「省令準耐火構造」が最初から標準仕様となっておりますので工事費で差額を戴く事は有りません。純和風で立派な柱や梁材を見せたいというお客様には残念ながら適用出来ませんが、和風調で妥協して戴けるのであれば対応出来ます。もっと詳しくお知りになりたい方はぜひ弊社へお問い合わせください。


木造構造躯体からの「熱橋」

先日、あるお客様から「外断熱工法」についてのご相談を戴いた。お客様曰く「木の柱や梁材は熱貫流率が断熱材の5倍も有るので『熱橋』を抑える為に外断熱工法で家を作りたい。そして部屋は明るくないといけないのでサッシは大きくしてトリプルガラスを使いたい。」との事。住宅業界に身を置いて37年になるが、木の柱や梁材そのものからの「熱橋」をお客様から言われたのは初めてである。

「熱橋」とは建築躯体を構成する部材の中で外部の熱を内部へ、内部の熱を外部へ伝える部分を指す言葉であり、要は熱貫流率の高いモノがそれに当てはまる。そして構造躯体で最も熱貫流率が高いモノの代表格が鉄である。住宅では軽量鉄骨造の建物が該当になる。鉄は誰もが知る通り熱が伝わりやすい素材なので冬の外気温が低ければ、その冷たい熱をダイレクトに内側へ伝えてくる。元々「外断熱工法」はこうした軽量鉄骨造の断熱性能を克服するために考案された工法なのである。

しかし、最近は木造でも「外断熱工法」を取り入れるハウスメーカーや工務店が後を絶たない。弊社ではいろいろな観点から検証した結果、「外断熱工法」は不採用としている。単純に断熱性能だけを見れば明らかに素晴らしい工法ではあるが、そもそも「家づくり」とは断熱性能だけで決めるものではない。メリットだけを見て、デメリットを見ずに作れば後々大きなクレームに発展してしまう。それは断熱だけではなく、何にでも言える事だが物事には必ず表と裏が有るものだ。商品を売る人間は往々にして表のメリットだけをアピールするが、裏のデメリットについては余り語ろうとはしない。なぜならば、それを言ったら商品が売れなくなる恐れが有るからだ。

さて、木造構造躯体の「熱橋」を語ったお客様は本当に勉強熱心な方であると思う。しかし、私的には少々矛盾を感じてしまう。熱貫流率の表を見ると木材の熱貫流率は杉の柱で0.097w/㎡・kで、確かに各種断熱材よりも熱貫流率は高い。ここに「外断熱工法」を採用すれば確かに木造躯体部分の「熱橋」は防げる。しかしながら壁面には必ず窓が存在する。外壁面の中で最も熱を逃がす部分として、この窓が一番大きい。ちなみに最も熱貫流率の低いトリプルガラスを使った樹脂サッシを使ったとしても熱貫流率は0.79w/㎡・kもある。実に杉の柱との熱貫流率の差は8倍以上あり、断熱材と比較すれば十数倍もの差があるのだ。要は外壁面を完璧な断熱工法にしても窓が有れば、そこから「熱橋」は必ず起こるのである。つまり、ここで矛盾が生じる。木造構造躯体の「熱橋」にこれだけこだわるのであれば、極端な話サッシは付けない方向で考えなければならない。しかし、採光面で必要最小限の窓は付けなければならず、小さな窓だけと言う訳にはいかない。しかもお客様のご要望は「大きな窓がたくさん有る家」だ。こんな事を言っては失礼ではあるが「木を見て森を見ず」だと思う。「家づくり」とは総合的な見地に立って考えなければならないと言うのが私の持論で有り、お客様への回答である。

そもそも木造構造躯体の「熱橋」が問題視されるのであれば、弊社が以前加盟していた『夢ハウス』の真壁工法などは有り得ない工法になってしまう。実際に『夢ハウス』だけでなく真壁工法で建てられた住宅の柱の内側を触っても冷たいと感じる事は無い。住宅の構造躯体には大きく分けて木、鉄骨、RCの3つがあるが、その中で最も断熱性能が高いのが木である。断熱材と比較すれば確かに数値的には劣るが、サッシの数値と比較したら差帆のモノではない。よって弊社ではそこを問題視にはしていない。体感的に寒い、冷たいと感じるのであれば別だが、現段階においては軸間断熱工法でも充分な断熱性能が確保されていると弊社では考えている。また、これからは断熱性能を上げる事よりも遮熱性能を上げる方にお金を投資する方が有効的だと考えている。

最後に弊社が「外断熱工法」を行わない理由であるが、これに関しては直接お問い合わせ戴きたい。断熱性能の部分においては理想的な工法かも知れないが、弊社が問題視しているのは全く違う部分である。木造で「外断熱工法」をご検討されている方には是非問い合わせて戴きたい。「これを知って建てるか、知らずに建てるかであなたの住宅の寿命は大きく変わる事間違いなし。」と断言致します。